“北欧移住2年目”憂う心を癒やした「底打ちの森」 週末北欧部 chikaさん 会社員時代に教わった「大切なこと」に救われた
「チカは、どんな角度で成果を出そうとしているの? Aプラン? Bプラン?」そう問いかけながら上司が書いたのは、2つのグラフ。 その時の私は、悩まず「Aプランです」と答えた。1年間という限られた赴任期間で、早く成果を出さなきゃ……と思っていたからだ。 けれど上司が言ったのは「僕はね、Bプランを期待しているんだ」という意外な言葉だった。「最初から成果が出るなんて思っていないし、それが出るのは後半でいい。それに、通常人の成長はBの曲線を描くもの。だから、そんなに焦らなくてもいいんだよ」。
期日は大切だ。けれど同時に、その長さによって自分にかかる負荷が変わることも覚えておかなければならない。 鋭い角度で到達すれば、頑張る期間は少なくて済むけれど、その分負荷は高くなる。人の成長は、多くの場合「緩やかな曲線の先」に訪れる。 せっかちで、急な傾斜を登ってしまいがちな私。短期間で成果が出ない時に「もうダメだ」と落ち込みすぎず、その先に来るカーブを信じて進み続けることも同時に大切にしなければと思う。
■悲しみを「底打ちさせる」 一人で働き始めてから、会社員時代に学んだことに助けられる日が多くある。その中のひとつが「レジリエンス」で、この教えなしには乗り越えられない時期が幾度もあった。ストレングスが個人の持つ強みやスキルであるのに対し、レジリエンスは困難や失敗から立ち直る「回復力や適応力」を指す。 「ストレスフルな場面に対応するとき、ストレングスを発揮するだけでなく、実はレジリエンスに着目して鍛えることも同じくらい大切なんです」と、人事の先輩が教えてくれた。
そこで教わったのが「底打ちさせる」という概念だった。 人は困難な状況や逆境に直面したとき、ストレスや絶望感で一時的に最悪の状態“底”に達する。モチベーションやエネルギーは低下し、まるで暗い深海へ沈んだような気持ちになる。 けれど、海にも必ず「底」があるように、あらゆる負の感情にも必ず「底」という終わりがある。最も暗いその場所で、確かに自分の足が底を感じた「底打ち」の瞬間は、同時に最悪の状態からの回復プロセスが始まる瞬間でもある。