日本に五輪の熱気は戻るのか―パレードはなく、トップスポンサー撤退の動きも
トヨタは最高位のスポンサー終了へ
国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサーであるトヨタ自動車は、契約が切れる今年末をもって、協賛社から降りると伝えられている。IOCと契約を結んだのは東京五輪の開催が決まった2年後の2015年だった。契約期間は10年間で、リオ、平昌、東京、北京、パリという夏冬5大会においてIOCのTOP(ジ・オリンピック・パートナー)を務めてきた。五輪マークを使った世界規模の販促活動が認められており、スポンサー料は非公開ながら、総額1000億円を上回るとみられている。 地元開催の東京五輪はコロナ禍で、開催反対の世論も高まった。組織委員会の大会運営を巡るさまざまな問題が相次いで発覚し、トヨタは国内でテレビCMの放送を行わないという判断に踏み切ったほどだ。五輪スポンサーであることを強調した場合、企業イメージをむしろ損なうと判断したのかもしれない。 今年末でTOPの契約を終了するというトヨタだが、一方でパラリンピックの協賛は続け、自社のスポーツ部やアスリートの直接支援に力を入れたいとの意向を持っているという。IOC側は「オリンピックとパラリンピックの協賛は一体であり、切り離せない」と難色を示しているとされるが、同社はこれ以上、五輪への支援を続けるメリットは少ないと見ているのではないか。 スポンサー料の高騰が続く中、肥大化する商業五輪から手を引く企業は他にも現れている。コカ・コーラと並ぶ五輪スポンサーの代表格だったマクドナルドが、リオ五輪を最後にTOPから撤退し、話題になった。巨額の協賛金負担に加え、テレビ視聴率の低下なども背景にあるとみられている。米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)の協賛社の中でも、AT&Tやバドワイザーなど有力企業がリオ五輪後に撤退している。 日本企業ではトヨタの他、パナソニック、ブリヂストンがTOPの契約を今年末まで結んでいるが、今後、五輪のスポンサーシップにどんな変化が生じるかも注目される。