「実は国民の3人に1人が患者」 頭痛専門医が教えるマッサージ法と食事 「チョコはダメ、コーヒーが有効」
首のこりにつながる姿勢
実は、片頭痛持ちの80%は緊張型頭痛を併発しているとのデータがあります。従って、片頭痛だけの人は別として、併発型の人は片頭痛が出てきたからといって、頸動脈だけでなく首の後ろ側まで冷やしてしまうと、こりを強めて緊張型頭痛を助長してしまう恐れがあります。片頭痛の対処法で、後頭部は冷やしてはいけないと説明したのはこのためです。 まとめると、頭痛持ちの多くを占める片頭痛、緊張型頭痛の総合的な対策としては、首は耳より前の部分を冷やす、耳より後ろの部分は温めるのが正解といえます。 また、緊張型頭痛の原因の99%は首こりですから、首のこりにつながる「悪い姿勢」は全てNGです。例えば、頭を突き出した亀のような状態になるストレートネック、いわゆるスマホ首は緊張型頭痛のリスクを大幅に高めます。その他、猫背、脚を組む、あぐら、ハイヒールで歩くのも「悪い姿勢」ですから要注意です。
マスクを着けることもリスクに
「上半身の姿勢」の問題である首のこりと、「下半身の姿勢」の問題であるあぐらやハイヒールは関係ないのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、体の筋肉は連動していますので、首だけでなく、体全体を「良い姿勢」に保つことが重要なのです。 筋肉の連動という点で言えば、マスクを着けることも表情筋をこわばらせますから、感染症対策として重要である一方、緊張型頭痛にとっては気を付けるべきことの一つです。 また、首のこりをほぐすことが大事とはいえ、首回しはお勧めできません。首には脊髄が通り血管や交感神経などが張り巡らされていて、首を回すことで神経や血管を傷つけてしまう危険性があるからです。 その代わりに、首こりを和らげるのに有効なのが「胸鎖乳突筋」を自分の指先でほぐしてあげることです。入浴後の筋肉が緩んでいる状態でほぐすとさらに効果が高まります。
首こりを解消するマッサージ
胸鎖乳突筋とは、首こり筋とも言われるまさに首のこりをもたらす筋肉で、耳たぶの後ろにある骨の出っ張り(乳様突起)から始まる筋肉です。 ほぐす筋肉を間違えると全く効果は出ませんので、確実に胸鎖乳突筋をもむことが大切です。ポイントは、乳様突起から「真下」に伸びている筋肉ではなく、「やや前斜め下」に伸びている筋肉が胸鎖乳突筋だということ。実際、首にこりを覚えている人は、「真下」の筋肉をやや強めに押してみてください。ほとんど痛みを感じないはずです。一方、「前斜め下」の筋肉を強めに押すと、かなり痛いはずです。 他には、眼精疲労も首こりの要因になるので、「眼輪筋」を温めるのも効果的です。 こうして、姿勢に気を付け、温めたり、筋肉をほぐすといったことで緊張型頭痛は予防が可能ですが、片頭痛はどうでしょうか。