有村昆が2024年映画のワースト5を発表「ミステリーとしては凡庸な、いちばんつまらない結末」
1年を振り返る季節、映画コメンテーターの有村昆が、2024年に公開された映画からワースト5を発表。一体どんな作品が並んでいるのか!? 【画像】有村昆が選ぶ2024年ワースト映画 アリコンが選ぶ、2024年ワースト作 第5位 『ナイトスイム』 第4位 『ソウX』 第3位 『流転の地球 -太陽系脱出計画-』 第2位 『スオミの話をしよう』 第1位 『スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム』 ベストを発表したら、ワーストも挙げざるを得ないということで、関係各所から怒られるかもしれないですが、今年観た映画の中で、あくまでも僕の好みに合わなかった作品を5本挙げていきたいと思います。 ●ワースト5位 『ナイトスイム』 低予算ホラー作品を連発するブラムハウス製作による、いわゆる「呪いの物件」モノです。ある家族が移り住んだ中古物件にプールがついていて、そこになにかが潜んでいるというお話なんですけど、雰囲気ばかりで恐いことがあまり起こらない。それにテンポも遅くて、なかなか物語が展開しないんですよ。最初は静かに始まって、だんだん盛り上がっていくのかと思ったら、何かが起こりそうな雰囲気だけで、ラストもあまりスッキリしない。単純に脚本が退屈だし、演出力も足りないという感じですね。98分と短めの上映時間ですが、その割に長く感じられたというか、タイパの悪い作品だと思いました。 ●ワースト4位 『ソウX』 ソリッドなシチュエーションと、恐ろしい仕掛けで人気の『ソウ』シリーズも、今年で20年目に突入、第10作目となりました。死のゲームを仕掛けるジグソウことジョン・クレイマーはとっくに亡くなっていて、その遺言とか、意思を継ぐ者が出てきてシリーズは続いていたんですが、今作は最初の『ソウ』と『2』の間の物語ということで、ジグソウが普通に出てきます。逆に言えば、ジグソウがここで倒されないのがわかっているので、緊張感が薄まってしまっている。こういうジャンルの映画としては致命的かもしれません。 それでも、とっくに賞味期限が切れてる『ソウ』シリーズを、なんとか続けようという意気込みは買います。だったら同じ材料でも違う味付けにすればいいのに、何も変わらない。あれをやるんだろうなって思ったら、ほんとに予想通りの展開で、もうわかったよ、という感じになってしまいました。 ●ワースト3位 『流転の地球 -太陽系脱出計画-』 これは『三体』などを書いた劉慈欣の短編小説を映画化した、中国製作のSF大作。実はNetflixで配信された『流転の地球』の続編にあたり、しかも、その前日譚となります。中国では大ヒットしたという触れ込みの作品で、太陽系が消滅しそうなので、ロケットエンジンを使って地球を動かすという壮大な計画を描いているんですけど、これがけっこうキツかったですね。 登場人物が多くて、悲壮感が漂っているんですけど、肝心の地球移動計画がなかなか進まないんですよ。史上最大級の大コケ映画といわれたCGアニメ『ファイナルファンタジー』と雰囲気が似ていて、大きな話がゆっくり進むでいくので、ちょっと退屈なんですよ。 例えば『アルマゲドン』は、地球に隕石が衝突するのを防ぐという壮大なSFですけど、そういう大きな視点のお話と、作業員たちがなぜ命をかけるのかとか、親子の絆の話といった個人的でミニマムな視点があるから、気持ちが入って感動できるんですよね。 この『流転の地球』に関しては、本当に大きいところばっかりを掬っているから、どの目線で見ていいのかわからないし、まったく感情移入できない。やっぱりキャラクターというか、人間がしっかり描けてないと映画ってこんなにおもしろくないんだなって、改めて思いました。