産後に暴走する夫のマザコン...「俺は実家に泊まってあげる」と、妻と新生児を見放した夫の闇
「27歳が女の最高値」という父親の言葉に押され、恋愛感情のなかった医師の恋人とほとんど無理やり結婚させられてしまった美保さん(仮名・現在40歳)。実はそれまで母親の教育方針上、男性経験がないまま妻となりました。 新婚初夜に初体験を迎えた美保さんにとって、毎晩の夫婦の営みは苦痛でしかなく精神を削られましたが、妊娠発覚が彼女の救いに。しかしながら、夫が不審な行動をはじめ……。 取材者プロフィール 美保さん(仮名):40歳 職業:専業主婦 家族構成:バツイチ、11歳の女の子
愛がなくても、家族になれる…?
恋愛感情のなかった元夫と結婚することとなり、愛のない夫婦生活に心身共に疲弊していた美保さん。 特に初体験の相手でもある元夫とのセックスは苦痛以外の何物でもなく、離婚が頭をよぎり始めたときに妊娠が発覚。 それまで元夫に自尊心を削られ続けてきた美保さんは、ようやく生き甲斐を見つけたような気持ちで、「愛がなくても家族にはなれる」と新しい命を授かったことを心底喜ばしく思っていました。 しかしそれまで散々美保さんに執着していた元夫は、なぜだか家に寄り付かなくなり、ほぼ毎週泊まりがけで実家に帰るようになったのです。 「元夫は、妊娠した私にすっかり興味を失い、代わりに義母にやたらと甘えていました。その様子は、一言で言えばただのマザコン。でも、娘が生まれれば彼も変わると思っていました。 私はお腹の中に自分の赤ちゃんがいると思うと愛しい気持ちでいっぱいでしたが、男性にはその感覚がないから仕方がない。生まれた娘と対面すれば、きっと元夫とこの気持ちを共有できるはず……と漠然と思い込んでいたんです。でも出産後も彼は何も変わらないどころか、マザコンは暴走しました」 なんと元夫は、まるで新生児の育児から逃げるように、さらに実家で過ごすようになったのです。
産後の妻の負担を減らすべく“外泊”する夫
「産後に失望したエピソードはいくらでも出てくるんですが、そもそも元夫は月の半分も家にいなかったと思います。『美保は忙しいと思うから実家に泊まっててあげるね。俺のことは気にしないで』と、要は俺の世話をしないなら楽だろ? と、まるでそれが私への厚意のように実家に入り浸っていました」 夫は、新米ママである妻と育児を分担する気持ちは全くなかったそうです。むしろ外泊すれば妻の負担が減るくらいに考えていたよう。 「あと、やっぱり私は元夫を好きになれないと実感した出来事があります。産後に知人友人から頂き物をすることが多かったんですが、食べ物は消費し切れないからお互いの両親にあげようという話になり……。 義両親は和菓子が好きで洋菓子は食べないというので、ざっくり和菓子と洋菓子をわけておいたんです。彼は直接実家に持って行く用の袋と、私の両親用は郵送用のダンボールで。その洋菓子の一つに母の好きなメーカーのクッキーがあり、『これママが大好きなんだよね』なんて言いながら梱包して、翌日に郵送したんです」 「でも、母からお礼の電話が来たときにクッキーの話題を出すと、それは届いてないと。おかしいと思い元夫に聞いたら、なんと『美保のママが好きならうちの母親も好きだと思ったから、もらった』と……。 私が知らない間にダンボールを開けてクッキーを奪ってたんですよ。驚きました」 当初、元夫は美保さんのタイプではないものの、悪い人ではない。またお二人の相性も良くないのだと予想していました。もっと言えば、妻に愛されない元夫に同情するような気持ちも多少ありました。 ですがお話を伺ううち、元夫は妻に嫌われる理由もしっかり持ち合わせていたのだと理解しました。わかりやすい攻撃性はなくても、パートナーに寄り添う気持ちや想像力がかなり欠けている印象です。 「決定的だったのは、娘が生後2ヵ月でRSウィルスに感染し、酷く体調を崩したときです。赤ちゃんは鼻水を自力で出せず、詰まってしまうと窒息の可能性もある。だから予防策として、夜もなるべく授乳をしていてくださいとお医者さんに言われ、娘の看病に必死になっていたとき。彼はまたあっさりと『大変そうだから俺は実家に帰るね』と言ったんです。 でも私は娘が心配で睡眠もままならない状態で、さすがに1人では不安だから一緒にいて欲しい、一緒に看病をして欲しいと、このときばかりはかなり食い下がって頼みました。でも、『ごめん、ママと約束したから』と、元夫はやはり実家へ行ってしまったんです」
山本 理沙