「あなたの子が参加したら、うちのクラスが勝てない」 発達障害児を“厄介者扱い”…親は「幼稚園・保育園」どう選ぶか
“自由で伸び伸び”に戸惑う子もいる
「ずっと自由に遊んでいていいんだよ」と言われたら、「伸び伸びできていいじゃないか」と、誰しも一瞬は思うもの。私たち大人には「スケジュールが組み込まれる=窮屈」「自由=楽しい」という思い込みがあるからでしょう。 しかし、自閉症である私の息子の場合は真逆でした。自由な空間にポツンと置かれてしまうと、見通しが立たず、不安になっていたのです。 当時通っていた保育園は“自由で伸び伸び”ではなく、「◯時からお歌」「□時からは体操」「△時からはお絵描き」とタイムスケジュールが決められていて、息子にとっては1日の流れの見通しが立ち、比較的安定していました。 小学校には時間割があり、「1時間目は算数、2時間目は国語」と見通しが立ちます。そして「これをやって、あれをやって」とプリントや課題を出されます。でも、休み時間は「校庭で各自好きなように遊びましょう」「友達と自由に過ごしましょう」となるので、戸惑ってしまう子も実際にいます。 “自由で伸び伸び”の幼稚園、保育園は、小学校でいうところの「休み時間」が一日中続くようなものなのかもしれません。 大切なのは、子どもの状態に合わせて「最も居心地の良い園」を考え、選ぶこと。そのためには、大人の固定観念を捨てる必要があるのではないでしょうか。 「教育熱心な園で、子どもが刺激を受けて伸びるような気がするから」「親しいママ友の子が通っているから」「制服がかわいいから」「園バスが近所まで迎えに来てくれるから」「施設がきれいだから」「有名だから」……そうした理由から選ぶのではなく、発達に課題のある子どもの保護者の話にじっくり耳を傾けてくれて、他の子と比較したり、「こうであらねばならない」基準を押しつけたりしない園を選ぶことが大切だと思うのです。
子育て本著者・講演家 立石美津子