「賃金上がらず」「倒産過去最多」看護・介護現場で“今”何が起きているのか? 第一線で働く「ケア労働者」が訴える現場のリアル
働きの“質”を賃金や昇給につなげてほしい
現場の危機的状況について、介護ヘルパーの資格を持ち、介護・福祉分野に詳しい外岡潤弁護士(弁護士法人おかげさま)は、「介護の話に限って言えば、人材確保は、正社員や介護福祉士の資格を持っていなければだめ、とハードルを上げず、施設側も(採用に)柔軟に対応し、変わらないといけない面もある」と指摘。 一方、従事者の負担軽減については、「利用者を車いすに移すリフトなど、ロボットや道具を使うことで従事者の腰痛を防止し、肉体労働を減らすことができる。体力のない人でも働けるよう、設備の導入に補助金を出すなど国が促進する必要もあるのではないか」と提言した。 処遇については、「(施設等で)毎日行っている介護の質が細かく評価されていないように思う」とし、「介護のスキル、知識、積み重ねが評価される賃金・昇給体系を取り入れ、頑張れば上がっていく仕組みを促進してほしい。利用者の『この施設で良かった』といった声が反映されるべき。現場の声、働きを(評価に)吸い上げて、モチベーションの向上につなげてほしい」と国による対策の必要性を語った。 関係者らが求める処遇改善。しかし、年末一時金については、医療機関・介護施設で大幅引き下げの回答が続出している。 渡辺勇仁(ゆうじ)医労連副委員長は宣伝行動の最後、財務省の職員らに向かってこう声を上げた。 「あなた方も(将来)医療や介護に必ずかかる。現状が続けば、その時になって医療にかかれない、介護にかかれないということも起こり得る」 ■榎園哲哉 1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。
榎園哲哉