【F1】角田裕毅「頭がカッカした」衝突が致命傷となる可能性 決勝の53周のデータが失われた損害は大きい
【1ストップ作戦で走りきる予定だった】 金曜の走行データからダウンフォースが出ていることは事実で、エンジニアたちはそれを使いこなすべく、セットアップを修正して予選・決勝に臨んでいた。しかし、ドライバーの感覚としては「このフロアは使いこなせない」という思いがあったのだろう。その予想どおりの結果になってしまったからこその苛立ちだった。 「機能しているのか機能していないのかわからないですけど、機能していたらこの順位では終わっていないと思うので、ちゃんと理解を深める必要があるかなと思います」 旧型フロアを使う僚友ダニエル・リカルドから0.044秒差。しかし、コーナーの多いセクター2では角田のほうが0.021秒速かった。これをどう見るかだ。 それをさらに詳しく理解するためにも、決勝でしっかりとデータを収集して次につなげよう──そう気持ちを切り替えて臨んだ決勝だった。 新舗装されたモンツァ・サーキットで、タイヤがどのような傾向を示すのか。まったくの未知数のなかでスタートしたレースは、定石の1ストップ作戦では走りきれず、2ストップ作戦に切り替えるドライバーが続出した。 そんななか、角田はライバルとは逆のハードタイヤでスタートし、得意のタイヤマネージメントでポジションを上げるべく好走を見せていた。しかし、5周目のターン1でヒュルケンベルグに接触されてしまった。 入賞の可能性は低かったとはいえ、それよりも痛かったのは、新型フロアのデータを収集できなかったことだ。 「スタートは悪くなかったですね。タイヤはわりと保たせてはいましたし、できるだけ引っ張って1ストップ作戦で走りきろうと考えていました。ポイントが獲れたかどうかはわかりませんけど、今回は特にフロアの効果を確かめたかったレースだったので、そういう意味で(リタイアを余儀なくされたことによる)損失は大きいかなと思います」 バイエルCEOも同じように、決勝でデータ収集ができなかった痛手を悔やむ。新型フロアの可否を確認することが今後の開発の方向性を左右するだけに、チームとしてもその作業に集中しなければならないと語った。 「今日はレース全体を通して走行することで、この新型フロアでのレースペースを見てさらに分析ができるはずだった。ダウンフォース自体が発生しているのは間違いない。しかし、マシンバランスにどのような影響を与えている(ためラップタイムに繋がっていない)のかを詳しく理解する必要がある。フリー走行と予選のデータはあるから、これからのそのデータを分析して理解を深めることになる。宿題が山積みだよ」