【注目校に聞く】鷗友学園女子(上) 困難な時代の中でも「タフで愛ある人に」
鷗友学園女子中学高校(東京都世田谷区)は、東京府立第一高等女学校(現・東京都立白鷗高校・付属中学)の同窓会「鷗友会」によって設立された学園です。キリスト教の精神を基盤とし、校訓に「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」を掲げています。今年4月、校長に就任した柏いずみ先生に、学園が目指す人物像を聞きました。
【話を聞いた人】鷗友学園女子中学高校校長 柏いずみさん
(かしわぎ・いずみ) 牧師の家に生まれる。鷗友学園女子高校卒業後、音楽大学へ進学。夜間の神学校に通いながら、母校で音楽科の講師を15年間務めた後、専任教員となる。学年主任、入試広報部、教頭を経て2024年4 月から現職。
女子が活躍するのは当たり前
――校長になって最初にされたことは何ですか。 これまで90年近く続いてきた学園が、この先100年、200年と続いていくために、創立当初の原点を確認しました。 創立者の市川源三は、東京府立第一高等女学校(現・東京都立白鷗高校・付属中学)の校長として、また全国の理事長・校長会のリーダーとして活躍した、女子教育の先駆者です。女子が活躍するのは当たり前。その上で、いかにタフに生きていけるかを大切にしてきた歴史があります。 創立当時から理事長を務め市川の愛弟子だった石川志づ(第3代校長)は、市川が大切に考えていた思いを受け、全人教育の柱をキリスト教におきました。市川の定めた校訓「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」を、石川は“Love・Light・Life”、三つのLに表し、その実践向上を促したのです。現在でも、新しいことを始めるときは、創立以来のスピリッツからそれていないかを確認しながら進めています。 ――校訓をどのように解釈していますか。 「慈愛」は、キリスト教の言葉で言えば、私たちは皆愛されている、「私」もそうですし、隣にいる他者も尊い存在だということです。本校はミッションスクールではありませんが、中学校3年間、週に1時間の聖書の時間(道徳にかえて)を設けています。 「誠実(まこと)」は、一人ひとりが与えられた可能性、賜物を探し出して、他者とともに生きる世の中の役に立つために、自分を磨き続け、学んでいく姿を指します。 「創造」は、「慈愛」と「誠実」という土台があって、自分の枠の外に出て違う価値観の人と出会い、一人では気づかなかったことを見つけ、新しいことを創り出すということです。クリエーティブな生活にはエネルギーが必要ですが、石川は「いつも、動き続けなさい。そこには新しいものが湧き出してこなくちゃ。それがクリエーティブな生活です。ジッとしている暇はない」と言っているんです。私も「これだ!」と思って、学校を動き回っています。