Intel再建道半ばでCEOを退任したゲルシンガー
特に政府補助金を含めた巨大投資が始まっているファウンドリ会社にはIntel自身以外に大手顧客はまだ決まっていない。以前からゲルシンガーは「ファウンドリ会社のキャパシティーは2025年から2年間はIntel製品に振り向けられる」と語っており、Intelのx86製品を中心とする製品群はしばらく屋台骨を支えていかなければならない。それには製品力をAMDに対抗する強力なものにする必要がある。またAI半導体の戦略についても本命となるはっきりした方向性が見えていない。取締役会の中には製品部門とファウンドリ部門の分離を主張する声も聞かれ、別会社となれば現在出荷中の製品がTSMCの製造力に頼っている現況を考えると、製品/製造の両ファクターをうまく組み合わせるのは容易なことではないだろう。 巨大プロジェクトの道半ばで「引退」という形でレジェンドは表舞台から姿を消すが、敬虔なクリスチャンと言われるゲルシンガーの今年のクリスマスは穏やかなものになるだろう。 ■ 吉川明日論 よしかわあすろん 1956年生まれ。いくつかの仕事を経た後、1986年AMD(Advanced Micro Devices)日本支社入社。マーケティング、営業の仕事を経験。AMDでの経験は24年。その後も半導体業界で勤務したが、2016年に還暦を機に引退を決意し、一線から退いた。
吉川明日論