35歳・松平賢二のアジア選手権代表入りに大反響!ドイツで活躍する後輩・上田仁と交わした熱いメッセージ
10代後半から20代前半が隆盛の日本男子卓球にあって、今、30代の選手たちが元気だ。 【アーカイブ配信】アジア卓球選手権2024 兼 世界卓球2025 アジア大陸予選会 代表選手選考会 東京都北区の赤羽体育館で6月20、21日に開かれた「2024年アジア選手権アルマトイ大会(個人戦)」兼「世界卓球2025ドーハ(個人戦)アジア大陸予選会」の日本代表選手選考会で、出場選手20人がしのぎを削り、35歳の松平賢二(協和キリン)が優勝。 初日のグループリーグを4戦全勝で1位通過した松平は、2日目の決勝トーナメント準決勝で16歳の全日本ジュニア準優勝・吉山和希(岡山リベッツ)をゲームカウント3-1で破る。 決勝は世界ランク30位(最新の世界ランク31位)でパリ五輪のリザーブにも選ばれた17歳の松島輝空(木下グループ)をフルゲームで下し、見事、アジア選手権男子シングルス代表の座を射止めた。
女子の優勝は19歳の成長株・大藤沙月(ミキハウス)。年の差16歳という珍しい表彰式のツーショットはSNSなどで話題となった。 松平と大藤にはアジア選手権の成績次第で世界卓球2025ドーハ出場のチャンスもある。
実業団チームの協和キリンで選手としてプレーしながら監督も務める松平は昨年、9年ぶりに全日本社会人選手権男子シングルス王者に輝き、年齢の壁を一蹴する強さを見せていた。 今回の代表選考会出場もそこで掴んだ切符。「選考会自体が久しぶり。年齢は関係なく今、自分の出来ることに挑戦するために出場した」と話す。 チャンスを最大限に生かすため選考会の1週間前にプレースタイルのモデルチェンジも図った。 その最たるはバックハンド。これまでは回り込んでフォアハンドで返球していたところを、無理に回り込まずバックハンドでコースを突いて得点するパターンを増やした。 また、フォアハンドはバックスイングを小さくしコンパクトなフォームに変えた。 「フォアに回り込むと詰まってしまうし、バックスイングも大きく振りかぶると相手にバックハンドで連打されて自分がどんどん下がっていく一方」とフォーム改良の理由を明かす松平。 大会本番直前のモデルチェンジには勇気が必要だったが、迷いはなかったという。 「今年5月の日本リーグで自分は2勝3敗に終わって、(自分の卓球が)全然変わってないなって。この選考会を迎える上でも、特に若い選手と試合をするとなるとチキータやバックハンドの速い展開で振り回されて同じ負け方をすると思ったから、プレースタイルをがらっと変えてみた。そうしたら練習でしっくり来て、試合でもグループリーグからすごくいい感触で、決勝トーナメントでも速い卓球をする2人(吉山和希と松島)にも上手くハマった」 チームを引っ張る監督としての自負も気持ちを駆り立てた。 「練習でチームメートと試合をすると毎回同じ展開になって、最後は勝ち切れない。日本リーグでも同じ相手に同じ負けた方をしていた。そんな中、今シーズンはチームに宇田幸矢や宮川昌大といった強い若手が入ってきてすごくいい刺激になって、自分も何か変化をつけようという気持ちが強くなりました。あと、チームオーダーに選手の名前を書くのは自分なので、チームメートに負けているようじゃ示しもつかない」 35歳という年齢で若手と渡り合うには体が資本。怪我や体調不良は大敵のため「食事と体のメンテナンス、あとは練習量を落とさないようにしている」と言う。 食べる量や食事をするタイミングに気を配り、「マッサージやストレッチも20代の頃より入念にしている」そうだ。 コンディションが良ければ卓球に向かうモチベーションも簡単に落ちることはない。 「卓球を長く続けてほしい」と応援してくれる人々や家族、切磋琢磨するチームメートの存在が原動力となり、日本の卓球をさらに強くしたいという熱い思いも松平の背中を絶えず押している。 「若い選手はすごく強いですけど、僕たち30代も1回や2回負けたくらいで諦めちゃうと日本の卓球全体が伸びないと思う。そういう部分で少しでも壁になれればいいと思うし、まだまだチャンスを譲りたくない気持ちもあります」 今回の代表選考会には松平と同い年の高木和卓(ファースト)や30歳になった吉村真晴(株式会社SCOグループ)、大島祐哉(木下グループ)らも出場した。 吉村はグループリーグの最終戦で松島と対戦しフルゲームで敗れたものの、先に2ゲームを奪い急成長の松島を追い詰めた。 そんな同世代の雄姿を目の当たりにし、「卓さんとか真晴とか大島が頑張っていると、自分の気持ちも上がってくる」と松平。