メキシコの世界最古団体で単身20年にわたり活躍する日本人プロレスラー「OKUMURA」インタビュー
日本人プロレスラー・奥村茂雄は、世界最古のプロレス団体であるメキシコのCMLLにおいて、外国人選手初となる20年所属の快挙を達成した。慣れない環境と文化の中で、言葉の壁を乗り越え、日本で培った技術を武器にメキシコで地位を確立した奥村は、今もなおリングに立ち続けている。 【写真】MLW世界タッグ王者の小島聡&OKUMURAの「CozyMAX」 ■師匠のひと言で始まった壮絶な第二の人生 世界最古の91年の歴史を誇るプロレス団体がメキシコのCMLLだ。提携する新日本プロレスと毎年開催している「FANTASTICA MANIA(ファンタスティカマニア)」でも知られている。 今年5月、本場のルチャリブレで日本人の奥村茂雄が外国人選手では史上初の20年所属という快挙を達成した。メキシコではOKUMURAのリングネームで活躍し、以前『陸海空 こんなところでヤバいバル』(テレビ朝日)というテレビ番組で「メキシコで有名な日本人8位」に選ばれたこともある。 「日本にいた頃はホント平凡な選手で、メキシコに20年もいられるなんて思わなかった。こっちに来ると表明したときには『こいつ、気が狂ったか』と言われたくらいですから(笑)」 日本でのキャリアは9年強。「ひと山いくら」のレスラーだった奥村は2004年3月に全日本プロレスを退団し、師匠の栗栖正伸から「メキシコに行ってみろ!」と言われたのが壮絶な第二の人生の始まりだった。当時31歳。 借りていたアパートの部屋を引き払い、車や家具を売却、海外転出届を出して退路を断ち同年5月、「1年やってダメなら引退しよう」とメキシコに渡った。 「これ、ちょっとヤバイところに来たな......」 そう思ったのはCMLLで初日の練習が始まって少しした頃だ。ウルティモ・ゲレーロやレイ・ブカネロらと同じトップクラスに入れられると、レベルが極めて高いのだ。本場ルチャのスタイルは、日本で奥村がやってきたプロレスと異なっていた。 果たして、日本で平凡な選手だった自分がやっていけるのだろうか──。 奥村は強烈な危機感を抱くと同時に、師匠・栗栖の親友で、新日本プロレスで活躍したメキシコ出身のレスラー、ブラック・キャットに言われた言葉を思い出した。 「CMLLはオールドスクールだから、とにかく練習に出なさい! そうしないと試合が組まれないから」