日本は韓国を見習え!トランプ2.0見据え米国産原油の輸入拡大が重要な理由
戒厳令で揺れる韓国だが、エネルギー政策では日本が見習うべきところがある。中東情勢が不安定化しているなか、日本の原油輸入における中東依存度は過去最高水準だが、韓国は徐々に引き下げてきた。カギは米国産原油の輸入で、韓国はトランプ2.0を見据えて今後も増やすことを検討しているという。世界の原油需給をめぐる動きとともに見ていこう。 写真で見る一夜限りの韓国・戒厳令 (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー) 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=68ドルから70ドルの間で推移している。週前半はOPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)の増産延期の観測から70ドル超となったが、その後、下落に転じた。 まず、いつものように世界の原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。 ブルームバーグによれば、OPECの11月の原油生産量は前月比12万バレル増の日量2702万バレルだった。リビアの生産量が前月に比べて11万バレル増加し、日量114万バレルとなったことが主な要因だ。 政治的な混乱が収まったことで生産を順調に回復させているリビアに対し、イランの原油生産を巡る環境は厳しくなっている。 米財務省は12月3日、イラン産原油を外国に輸送する「影の船団」で重要な役割を果たしているとされる35の事業体と船舶を制裁対象に指定した。10月のイランによるイスラエル攻撃とイランが発表した核開発活動の拡大がその理由だ。 11月28日付ロイターは「イランが核施設でウラン濃縮用遠心分離機を増設することを国連監視団に伝えた」と報じた。 イランと欧州の当局者は11月29日、イランの核開発問題などを巡り本格的な協議入りが可能かどうかについて検討を行ったが、特に目立った進展は見られなかった。 トランプ次期政権誕生を前に、イラン産原油の主な買い手だった中国の石油企業は代替原油の調達を活発化させる動きをみせている。