【どうすればプロテニス選手になれる? 第4回】幼少期に親がするべきこと│後編<SMASH>
錦織圭などの活躍以降、「テニス選手になりたい!」「子どもをテニス選手にさせたい!」と考えているジュニアや親が多くなりました。しかし、根本的な問題として、どうすればテニス選手になれるのでしょうか? プロになるまでの道筋を詳しく紹介していきます。 【画像】錦織、伊達も!日本人トッププロたちの“懐かしジュニア時代”の秘蔵写真をお届け! 今回は、前回に引き続き幼少期に親がするべきことについて。解説は、プロとしてツアーを回り、引退後はMTSテニスアリーナ三鷹を運営しながらコーチとして選手を指導している増田健太郎氏です。 ◆ ◆ ◆ 14歳以下トップJr.の両親の工夫 親御さんはどのように、子どもにテニスをさせてきたのでしょうか。14歳以下(※2017年当時。以下同)でトップジュニアである磯村志くんの父親、忍氏に聞きました。志くんのご両親はテニス経験者で、忍氏は「やすいそ庭球部」でコーチをしています。だから生まれた時にはテニスラケットが側にある状態です。 テニスを始めたのは3歳の時。朝、保育園に行く前に公園で毎日30分ほどテニスをしました。「食事、睡眠と同じように、日々のサイクルの中にテニスを入れようと思った」と忍氏。みんながやっていることで、テニスをすることが当然だと思わせていったそうです。 それでも小学生になると周りの子がサッカーや野球をしていることに気付きました。サッカーをやりたいと言い出した時は、朝の練習をテニスからサッカーに変え、夕方はスクールでテニスをするというスタイルに変更したそうです。 最初は親にさせられていたテニスですが、キャンプに参加したり全国大会に出場できると、色々な場所で友達ができてテニスが楽しくなり、自然とテニスに集中していきました。 志くんも今振り返れば、幼少時代にテニスをさせてくれたことに「感謝している」と言います。 末岡大和くんのご両親もコーチではありませんがテニス経験者です。父親の善之氏は子どもがテニス選手になるといいなという気持ちはあり、スキャモンの発育曲線(※身体の器官や機能が年齢ごとにどの程度成熟しているかをグラフで示したもの)を見て5歳までが重要な時期であると考えます。 2歳年長の姉と一緒にテニスではありませんが、色々なスポーツをして身体を動かすことをさせていました。 5歳になると公園でスポンジボールでの週末テニスの開始です。6歳になった時、8歳の姉が「トップラン」の選手コースに入ることになり、それに便乗する形で6歳にもかかわらず選手コースに入れました。 そこで週2、3回テニスをするようになり、小学校4、5年になると週5回テニスをする日々です。「嫌だったらやらなくていい」と言っていましたが、大和くんが辞めると言い出すことはなかったそうです。 磯村さんも末岡さんも幼少期には意図的にテニスをするように誘導していることがわかります。現在のテニス界を見ても、アンディ・マリー、ドミニク・ティーム、アレクサンダー・ズベレフ、ダビド・ゴファンなど親がテニスコーチというケースは多いのです。親がコーチだと幼少期からテニスと接する機会が自然と多くなるためでしょう。 そして、テニスが嫌にならないように工夫をしながら続けさせると、子どもたちは結果が出ることで自然とテニスが楽しくなるようです。 ところで、錦織圭やマリーが幼少期にサッカーをしていたというように、選手は小さい頃は他のスポーツもしていたという話を聞きます。テニスだけでなく他のスポーツもしておいた方がいいのでしょうか。 増田氏は「遊びの中で他のスポーツもやっておくといいと思います。テニスは小学校低学年から3時間も4時間もやるわけではありません。スクールのプログラムも2時間くらいが多いと思います。テニスをしない時間やしない日に、他のスポーツも楽しめます」