借金で賄う巨額歳出…来年度予算案、国債減でも「平時化」ほど遠く
政府が27日に決定した2025年度予算案の歳出総額は115兆円を超え、2年ぶりに過去最大を更新した。税収が伸びたおかげで、歳入不足を補うために新たに発行する国債(借金)を大幅に減らせたものの、巨額の歳出の多くを借金で賄う構造は変わっていない。(山崎崇史、鞍馬進之介)
予備費
加藤財務相は27日の予算案決定後に記者会見し、「経済・物価動向に配慮しつつ、これまでの歳出改革努力を継続する中で重要な政策に重点化している」と強調した。
歳出削減の一環として、コロナ禍の拡大を受けて始めた、特定目的の予備費計上をやめた。20年度の補正予算で10兆円超を計上して以降毎年度、兆円単位で盛り込まれた。
この予備費は国会の議決を経ずに政府の裁量で使うことができるほか、年度内に執行しきれず巨額の繰り越しを生んだこともあり、野党から批判されていた。財務省幹部は「特別な有事ではなくなってきた」と説明する。
それでも予算総額が110兆円を超えるのは3年連続で、政府が目指す「歳出の平時化」にはほど遠い。
高齢化
高齢化に伴う社会保障費の増大にも歯止めがかからない。薬価の引き下げや医療費が高額になった患者の自己負担を抑える「高額療養費」の見直しなどで、伸び幅を約1300億円圧縮したが、差し引きでは前年度から5600億円増え、初めて38兆円を突破した。
国債の元本償還や利払い費に充てる国債費も、28・2兆円と過去最大を更新した。想定金利を2・0%に引き上げたことで利払い費が膨らんだ。日本銀行は年明け以降に追加利上げに踏み切り、その後も利上げを続けるとみられる。将来的に、利払い費のさらなる増大は避けられない。
唯一の光明
歳入では、税収増を追い風に新規国債発行を6・8兆円減らし、28・6兆円に絞った。17年ぶりに30兆円を下回り、08年度(25・3兆円)以来の水準となった。財政再建に向けた唯一の光明と言えるが、それでも歳入の約4分の1を借金に依存している。