日テレ、TBSに続きフジテレビも開始した無料見逃し視聴サービス 今後の業界動向は
背景には違法動画配信と、タイムシフト視聴への対応
昨年、日本民間放送連盟の井上弘会長が現在の放送業界の課題として、インターネット上に違法にアップロードされ配信される違法動画配信と、録画機器等を利用したタイムシフト視聴への対応を挙げました。これらの課題を解決する手法の一つとして、インターネットを活用した無料見逃し視聴サービスを民放キー局がまとまって取り組むことが大切であり、実施に向かって検討を開始すると発表しました。 放送局が放送後に公式にインターネットにアップロードしたならば、わざわざ画質も悪く、検索に時間もかかる違法コンテンツを見る必要がありません。また、インターネットを利用して何時でも、どこでも、好きな機器で視聴可能になるためユーザの利便性も向上します。放送局にとっても、成長に限界がある国内のテレビ広告市場に次ぐ次世代の収益の柱として、インターネット動画配信を成長させることは重要です。 狙い通りに事が進めば、放送局、視聴者双方にメリットがある施策です。
広告主も歓迎
放送局による無料見逃し視聴は広告主からも歓迎されており、日本テレビは広告枠の販売開始に伴い20社以上からの引き合いがあり3日で全ての広告枠が埋まったとしています。これほど広告主の関心を集めた背景には、急速なスマホの普及が関係しています。 スマートデバイスの普及により、生活者のメディア接触は大きくスマホへとシフトしました。しかし、移動時間等の「隙間時間」にコンテンツを見るスマホによる視聴行動は閲覧時間が短いこと、画面サイズがPCと比較して小さいため広告スペースが小さくなり静止画の広告では訴求力が弱いことから、動画を使ったリッチなコンテンツが求められるようになってきました。しかし、動画広告を挿入可能なメディアには違法動画やアダルトを取り扱うメディアが多く、広告主にとって広告を出したいメディアの数が少なすぎるという問題がありました。 こうしたなかで、放送局主導による動画広告枠の提供は広告主からも歓迎されることとなりました。また、スマホからの視聴者はテレビ視聴と比べて若年層へのリーチが高まるため、若年層へのリーチを強化したい広告主にとって魅力的な広告枠となりつつあります。