日テレ、TBSに続きフジテレビも開始した無料見逃し視聴サービス 今後の業界動向は
国内における課題
放送業界、視聴者、広告主にとっても注目が高まる「無料見逃し視聴サービス」ですが、幾つか課題も存在します。 1.権利問題 海外においては番組の販売価格にはネット配信のライセンス費用も含まれているのが一般的です。しかし、日本では地上波の括りだけでも出演者・脚本・音楽など権利者が多岐に渡ります。更に地上波で放送する権利と、インターネットで配信する権利が別々のものとなっているため、各権利者に双方での配信の許諾を得る必要があります。 中でも大手芸能事務所に所属するタレントが出演している番組は、インターネット配信の許可が得づらいと言われています。 2.地方系列局への配慮 実はテレビ放送は日本全国で全ての番組が同時間帯に放送されているわけではありません。例えば東京で月曜日20時から放送されている番組が、地方では水曜日の20時から放送されるということもあります。キー局にとっては放送終了直後であっても、ローカル局では放送日前にインターネット上で見ることが出来るという状況が生まれます。視聴者のIPアドレス等を利用して地域ごとに視聴制限を掛けるような取り組みが検討される可能性があります。 3.視聴率が低下するという「局内の誤解」 インターネットの登場後、生活者の可処分時間はネットに奪われる傾向にあります。しかし僅か10年前には、この可処分時間の多くは「テレビ」のものだったのですから、古き良き時代を知る上層部には「ネットは敵」と見えているかもしれません。上記二つの課題は本気で取り組めば解消出来る問題ですが、本当の敵はネットを毛嫌いする「内」にあるのかもしれません。
海外の動向は
最後に、ネット配信で先行する海外動向について見てみましょう。 1.無料視聴期間の長期化 欧州では、2005年頃から公共放送がインターネットを利用した見逃し視聴サービスを開始しました。欧州の中でもリードしているのが英国の放送局BBCです。2007年12月、BBCが「iPlayer」というサービスを開始しました。これは受信料支払い者が過去7日間に放送したテレビ番組やラジオをインターネットを利用して無料で視聴出来るというものです。この「iPlayer」から発生するテレビのリクエスト数は月間1億9,900万回に達します(2013年10月)。英国BBCの2012年の海外売上比率は64.3%に達しており、既に売上の半分以上は海外から得るようになっています。 国内の見逃し視聴サービスはこのiPlayerを手本としていますが、iPlayerは2014年10月6日から視聴期間が30日に延長されました。