商船三井クルーズ、新客船を東京でお披露目。向井社長「クルーズ事業を成長分野と位置付け」
商船三井クルーズは7日、新規投入船「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)」(3万2477総トン)の就航記念イベントを開いた。新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES(三井オーシャンクルーズ)」の下で現役世代もターゲットに多様な船旅を提供する。東京国際クルーズターミナルで会見した向井恒道社長は「商船三井はクルーズ事業を成長分野と位置付けている」と述べ、計画中の新造船を含めた3隻以上の運航体制にも意欲を示した。 2隻同時運航は「ふじ丸」(2万3235総トン)の2013年の引退以来。「にっぽん丸」(2万2472総トン、1990年竣工)と合わせて大型客船には難しい独自の寄港地、地域と連携した独自のツアーを提供する。10泊以下の短期から90日を超える長期クルーズまで幅広いコースを展開する。 クルーズ市場は成長が見込まれ、海外船社の日本新規参入も注目される。向井社長は「国内外のさまざまなブランドによりクルーズを身近に感じるきっかけになり、業界が活性化し利用者も増える。これを好機と捉えている」と述べた。 有給休暇の取得率上昇を受け、現役世代に向けた販売も強化する。週末を含めるなど日程を工夫し、利用のハードルを下げる。今月から来年1月にかけてのデュークルーズでの反響は上々だったという。 商船三井はクルーズ船2隻を新造する計画で、27年に1隻目が竣工する予定。向井社長は「まずは2隻体制で安全・安心で喜んでいただけるクルーズを安定的に提供していきたい」とした上で、「今後3隻以上になるかはわれわれへの評価、どれだけ多くの顧客に乗っていただけるかがポイントになるが、より複数隻で羽ばたいていきたい」と意気込みを語った。
■早期に日本船籍に
「三井オーシャンフジ」は全室スイートの豪華客船。米シーボーン・クルーズから購入した「シーボーン・オデッセイ」(09年竣工)を改装した。「日本の美しい船旅」をコンセプトとしている。現在はバハマ船籍だが、早期に日本籍船とする予定。 1日に就航し、東京国際クルーズターミナルに7日入港した。これに合わせてにっぽん丸も停泊し、同ターミナルで初めてクルーズ客船が2隻同時に着岸した。 商船三井クルーズは7日に命名記念式典も執り行い、商船三井の橋本剛社長ら関係者が出席した。華道家元池坊の次期家元、池坊専好氏が本船を命名した。 午前中には東京港関係者が初入港セレモニーを開催。東京都の小池百合子知事が歓迎のメッセージを寄せ、都港湾局の松川桂子局長は「使いやすいターミナル運営に取り組み、皆さまをお迎えしたい」と話した。
日本海事新聞社