2025年は生成AIから行動AIに--UiPath、業務自動化の次なるステップを展望
業務自動化ソリューションを手掛けるUiPathは、「自動化とAIのトレンド:2025年版」を発表した。2025年は多様な業務を実行するAIエージェントが本格化し、企業ではAIエージェントを活用して業務自動化を推進するためのさまざまな取り組みが求められると予想している。 今回の展望を解説したプロダクトマーケティング部長の夏目健氏は、2025年にAIエージェントがキーワードとなり、情報を生成するAIから行動するAIに進化すると述べる。「AIに行動という要素が加わり、RPA以上に付加価値の高い業務の自動化を実現する。企業はその成果として、これまで以上の効率性や生産性、ビジネスの成長を獲得できる」(夏目氏)という。「自動化とAIのトレンド:2025年版」は、各種市場調査や顧客、パートナーの見解、ユーザーコミュニティーでの議論を踏まえ、以下の7つの業務自動化の未来を展望したという。 トレンド1:AIは思想から行動へ進化し、AIエージェント時代が到来する トレンド2:オーケストレーションによりエージェンティックオートメーションのエコシステムが形成される トレンド3:エージェントが幅広い自動化の機会に取り組み始める トレンド4:マシン(AI)と仕事を共有する。大規模な業務の再分配が始まる トレンド5:組み込み型AIの実装が広がり、企業で効果が実感されるようになる トレンド6:新しいツールによる大量のデータへの制御対策が求められる トレンド7:AIを抑制するための規制が世界中で講じられる トレンド1では、生成AI技術を活用して自然言語で入力されたプロンプトからAIがユーザーの意図などを理解し、ユーザーの行動履歴や好みといった情報も加味して、ユーザーが求めることを判断したり実行したりするようになるという。 例えば、海外出張の手配でユーザーが日程や渡航先などを入力すると、AIエージェントが組織の出張ポリシーや人事システムなどにアクセスしてユーザーの立場に応じた出張手配のプロセスを開始する。航空会社のスケジュールや宿泊候補先の空室状況なども検索してプランを作成、いったんユーザーに提示し、ユーザーがそれを判断する。ユーザーがAIエージェントのプランを了承すれば、実際に航空券や宿泊の予約を実行するといったイメージになる。 夏目氏によれば、AIエージェントへの投資が2023年時点では皆無に等しい状況だったが、2024年は数億ドル規模に台頭し、企業経営層の約7割が2027年までにAIエージェントを用いた業務の自動化に着手したい意向だという。また、2028年には企業や組織での意思決定の15%がAIエージェントの自律的に実行するとの予想だ。 夏目氏は、「AIエージェントは決められたフローだけでなく、より多くのことを実行することができる」と説明する。AIエージェントというアイデア自体は10年以上前から存在したものの、生成AIの実用化などテクノロジーのここ数年の進化によって具現化されたという。 2025年以降、AIエージェントは業務自動化の潮流となる見込みで、夏目氏は企業に対して(1)AIエージェントとAIエージェントによる業務自動化について基礎的なことを理解する、(2)AIエージェントによる業務自動化への検証を少なくとも1件は実施する、(3)先進事例も参考にして組織内でAIエージェントの活用を推進する体制を検討する――ことをアドバイスした。 トレンド2では、業務自動化には、人間と複数のAIエージェントやRPAが連携して協調(オーケストレーション)動作する仕組みが必要になるとする。ここでは、AIエージェントやRPAが実行するタスクの調整や管理、オーケストレーションを前提にしたワークフローの最適化と運用管理が必須であると同時に、オーケストレーション時に円滑な情報の受け渡しができるための適切なデータやコンテキストの活用方法も考慮しないといけない。 2025年は、ITベンダー各社がAIエージェントやRPAのオーケストレーションツールやプラットフォームサービスといったものを本格的に展開し始めることが予想される。ユーザー組織はそうした動向を注視し、ベンダーや製品、サービス、各種の連携、ソリューション化といったエコシステムの広がりを踏まえた対応を検討すべきだという。 トレンド1と2は、企業側でのAIエージェントの受け入れ準備や本格導入を考慮した仕組みの構築、運用管理体制の整備といったまず押さえておくべき事柄になる。