18社が上場予定の12月、IPO銘柄で注目の2社とは?
毎年12月はIPOが多く、2024年は18社の上場が予定されています。注目はキオクシアとSynspective(シンスペクティブ) です。 【画像】“健康”は株価を上げる? 18日にフラッシュメモリと呼ばれる半導体メモリで世界シェア3位のキオクシアがプライム市場に、19日には小型SAR衛星を開発するSynspectiveがグロース市場に上場します。
想定時価総額は7500億円、キオクシアとは
キオクシアは東芝から2017年にメモリ、ストレージ事業を分離して東芝メモリ株式会社となり、2019年10月にキオクシア株式会社に商号を変更しました。 前身となる東芝は1987年に世界初となるNAND型フラッシュメモリを発明しました。1991年に製品化され、現在の生活に欠かせないスマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラ、パソコンなどの記憶媒体に使用されています。 また昨今AIサービス市場の拡大傾向を背景にクラウド、高速通信分野などでの需要が拡大すると予想されています。今後はスマホ、パソコンも端末側にAI機能を搭載した機種が主流になるとされ、この分野の需要が増加する見通しです。 さらに同社が求められるデータセンター(DC)・エンターブライズ市場においてSSD(フラッシュメモリで構成される大容主記憶装置)の需要増加と成長が期待されています。 今回の上場では公募が2156万株、売り出しが5038万株(オーバーアロットメント1079万株)で、公募で調達する資金は277億円となっています。調達した資金は四日市工場(三重県)、北上工場(岩手県)の次世代フラッシュメモリなどの生産設備に充てるとしています。 IPOの主幹事証券会社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券で初値予想は1320円~1440円です。ただし、当初時価総額1兆5000億円を目指していましたが、想定の時価総額は7500億円規模と目標を大きく下回る事となります。
今後注目の衛星データ関連企業Synspective
Synspective は小型SAR(合成開口レーダー)衛星を開発・製造・運用し、SAR衛星データの販売と衛星データを利用した解析ソリューションを提供しています。 2015年から始まった内閣府主導の「ImPACTプログラム」では、小型SAR(合成開口レーダー)衛星の研究開発が行われ、そのプログラムマネージャーがSynspective創業者として名を連ねています。「ImPACTプログラム」では、大型SAR衛星と同等に近い性能を維持したまま、小型・軽量化を実現した世界トップレベルを誇る小型SAR衛星の要素技術が完成しました。 SAR衛星とは電波を地表に向けて発射し、反射した波を受信することで、地表の形などを画像化する人工衛星のことです。 2018年に会社を設立、従来のSAR衛星は1000キログラムを超えていましたが、同社の小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」は100キログラム程度に小型・軽量化し、低価格化を図ることで多数基生産を可能にしています。収益源は「データ販売」と「ソリューション提供」が2つの柱となっています。 データ販売は安全保障、防災・減災、インフラ・国土開発などの官舎が中心です。ソリューション提供ではStriXで取得したデータを中心に解析し、その結果を業務ですぐ利用できる情報として提供し、これによりSARデータの分析能力を持たない民間顧客も衛星データを利用できる仕組みです。顧客は各国の省庁以外にも損害保険、インフラ開発・土木工事、資源エネルギー開発事業者にも拡大しています。 2024年9月には、小型SAR衛星の量産工場が本格稼働し、2020年代後半までに30機の小型SAR衛星コンステレーションを構築する目標を実現するための生産体制が整ったとしています。IPOの主幹事は野村証券で売り出しは2449万株、初値予想は600円~800円です。今後、衛星データ関連は注目セクターとなりそうですが、依然として業績は赤字となっています。その辺りが注意点です。 その他、インフォメティス(9日:グロース市場)はソニーから家電分離技術を譲渡され独立した企業、また社名が目を引く令和アカウンティング・ホールディングス(23日:グロース市場)などの上場が予定されています。
たけぞう(個人投資家)