【インボイス未登録】「免税事業者だけど、請求書に“消費税”を記載していいの?」…税理士が〈免税事業者の請求書の作り方〉を徹底解説
おすすめ順に紹介!「免税事業者の請求書の作り方」3パターン
以上の法律や国の見解を踏まえて、具体的な免税事業者の請求書の作り方を3パターン、おすすめ順に紹介していきます。 【パターン(1)】消費税分は別表記せずに「税込価格のみ」表記する(図表3) 一番おすすめの請求書の作り方は、以前の動画で解説したときと変わらず、消費税分を別表記せずに、消費税分を含めた税込価格のみを表記する方法です。 これなら法律上も実務上も何の問題もありませんし、消費税分を別表記していないので、「免税事業者なら消費税分を値引きしてくれ」なんて言われることもありません。消費税分を10%で計算しようが8%で計算しようが、値付けも自由にできます。 【パターン(2)】消費税分を「消費税相当額」として記載する(図表4) 消費税分を別表記したい場合は、「消費税」という名称ではなく「消費税相当額」として記載する方法をおすすめします。 「消費税」と書くと免税事業者が消費税を請求するのはおかしいと言われかねないですが、「消費税相当額」を請求するのは国も認めていることで、別表記しても何ら問題はありません。 「消費税相当額」を売値の10%としてよいのか? 買い手が仕入税額控除を受けられる売値の8%にとどめるべきなのか? 生真面目に仕入時に支払った消費税相当額を集計した金額を表示しないといけないのか?という問題については、消費税相当額の計算方法に決まりはないのでどれでもいいのですが、売値の10%とすることをおすすめします。 なぜなら、こちらのサンプルでは軽減税率対象資産はないので、「10%対象」「8%対象」といった税率区分の記載はしていませんが、もし軽減税率対象資産があれば、「10%対象55,000円、8%対象〇〇円」と書かないといけないからです。 10%対象と書いているのに消費税相当額が売値の10%ではなかったら、買い手としては意味がわからないですよね。 それに売値の8%を請求してしまうと、「8%って軽減税率対象資産なの?」といった誤解を招きますし、生真面目に仕入時に支払った消費税相当額を集計して請求するのも、「なぜこんな金額になるの?」と疑問を抱かれてしまいそうです。 10%請求するのは益税だ何だと言われる可能性は0ではありませんが、きちんと法律を守っている以上、書き方や値付けの仕方をとやかく言われる筋合いはないので、気にする必要もないでしょう。 【パターン(3)】消費税分を従前どおり「消費税」として記載する(図表5) 最後にインボイス制度が始まる前と同じように、「消費税」として別表記する方法ですが、私はこれでも問題はないと考えています。 免税事業者は消費税を納税するわけではないので、「消費税」ではなく「消費税相当額」と記載した方が正しいのはわかりますが、どちらで記載しようがやっていることは同じだからです。 売値にかける税率も、10%のままでよいと思います。理由は【パターン(2)】と同じです。 請求書発行システムやレジシステムを使っている場合、「消費税」の部分を「消費税相当額」などの名称に変える機能がないことも多いでしょうし、そのためだけにシステム改修費用を支払うようなことまでする必要はないと思います。 インボイスの登録番号を載せるなど、インボイスと誤認されるようなものでなければ罰則はないと国も明言していますし、区分記載請求書の5つの記載事項もきちんと記載されているので、法律上は特に問題ありません。 もちろん、こういった事情を知らない人がほとんどなので、免税事業者が消費税を請求するのはおかしいと指摘されることもあるかもしれませんし、可能であれば【パターン(1)】か【パターン(2)】の記載方法に切り替えましょう。