【インボイス未登録】「免税事業者だけど、請求書に“消費税”を記載していいの?」…税理士が〈免税事業者の請求書の作り方〉を徹底解説
法律で決まっている「免税事業者の請求書の作り方」
まず法律上では、免税事業者の請求書の作り方はどこまで細かく決められているのかというと、次の(1)~(5)の5つの記載事項を請求書に記載しなければならないとされています(図表2)。 (1)請求書発行者の氏名又は名称 (2)取引年月日 (3)取引内容(軽減税率対象資産があれば、軽減税率対象である旨) (4)税率ごとに合計した税込価額 (5)交付を受ける者の氏名又は名称(小売業など不特定多数の者に販売する事業の場合は不要) 令和5年10月1日にインボイス制度が始まる前は、免税事業者も課税事業者も「区分記載請求書」を発行しなければならなかったのですが、その区分記載請求書にはこの5つの記載事項の記載が必要でした。 インボイス制度が始まって、課税事業者はインボイス(適格請求書)の発行が必要になりましたが、免税事業者は変わらずこの5つの記載事項の記載が必要です。 とはいえ、軽減税率の対象となる飲食料品や新聞を販売していない限り、5つとも普通に請求書を作っていれば自ずと記載される事項ばかりですので、あまり意識していなくてもこの5つの記載事項は記載できていたと思います。 「(3)取引内容」について、どこまで細かく記載しないといけないのか?とよく質問を受けますが、軽減税率の対象かそうでないかが把握できる程度であればいいので、画像のように「魚」や「牛肉」などの具体的な名称ではなくても、「食品」などの一般的な総称でもOKです。 また、「(4)税率ごとに合計した税込価額」についても、画像では「10%対象」「8%対象」と区分して記載していますが、軽減税率の対象となるものがなければ区分する必要はないため、請求する合計額の記載があれば自ずと(4)を記載できていることになります。 そして、「免税事業者でも消費税を別表記してもよいのか?」という話題に戻すと、消費税を別表記したとしても、本体価格に消費税を加えた税込価格が表示されていれば、(4)は記載できていることになりますし、請求書の作り方という点だけ見れば問題ないと言えそうです。 実際に、インボイス制度が始まる前は、免税事業者であっても消費税分10%を別表記するのが一般的でした。