<ノーベル賞>2015年も日本人受賞者は誕生するか? 日本科学未来館が予想
《ノーベル物理学賞》=6日午後6時45分~
■太陽系外惑星の発見(ミシェル・マイヨール博士) 太陽以外の恒星にも惑星が存在していることを発見。私たちの太陽が特殊な存在ではないことが立証され、生命のいる天体がほかにもあるかもしれない可能性を示した。 ■暗黒物質仮説につながる銀河の回転問題の発見(ヴェラ・ルービン博士) 観測から、渦巻き銀河の予想外の動きを発見。この動きを説明するには、私たちには観測できない重力源を想定しなければならず、暗黒物質の概念につながった。 ■「トポロジカル絶縁体」の提唱(チャールス・ケーン博士) 表面にだけ電気が通るトポロジカル絶縁体の存在を理論的に提唱。2年後にその実在が確認された。電子の移動ではなく、電子の自転(スピン)による磁場で電気が通る。
《ノーベル化学賞》=7日午後6時45分~
■リチウムイオン二次電池の開発(ジョン・グッドイナフ博士/水島公一博士/吉野彰博士) 高電圧で軽く、使い勝手も良い充電池を開発。モバイル機器に広く使われている。グッドイナフ博士と水島博士は師弟で、正極を開発。吉野博士が陰極にふさわしい素材を見つけ、現在のリチウムイオン二次電池の原型を作った。 ■ガソリン精製用触媒「ゼオライトY」の開発(エディス・フラニゲン博士) 原油に含まれる量だけではガソリンの需要はまかなえない。そこで、より分子の大きい重油などを分解してガソリンにする。さらに、引火しやすく自然発火しにくい理想的なガソリンになるよう質を高める。これらの反応を進める安くて壊れにくい触媒を開発したのがフラニゲン博士だ。 ■「DNAマイクロアレイ」の技術開発と普及への貢献(スティーブン・フォダー博士/パトリック・ブラウン博士) 生命科学の研究に広く使われているDNAマイクロアレイというツールの大量生産を可能にし、市販品にしたのがフォダー博士。ブラウン博士は自分の研究用にカスタマイズできるロボットアームを開発し、その作り方をネットで公開した。
他にも多くの“ノーベル賞級”の研究
受賞者の予想はあまり多く出しても仕方がないので、各賞とも3テーマに絞っているが、名前の出た研究者はもちろんこれだけではない。生理学・医学賞の日本の研究者だけに限っても、制御性T細胞を発見した坂口志文博士や小胞体ストレス応答の解明を手がける森和俊博士などの名前が挙がった。ノーベル賞級の研究は多い。 ノーベル賞の予想をしていると、「携帯電話がこんなに小さく高機能になったのはなぜだろう」「この薬は、従来品と何が違うのだろう」などと考えるようになる。どの技術にも、必ず最初にそれを思いついたり、実現したりした人がいる。名前はわからなくとも、そうした先人たちに思いをはせるのは楽しい。皆さんも「人類のためにもっとも貢献した人」を予想してみてはいかがだろうか。 ◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 詫摩雅子(たくま・まさこ) 1964年生まれ。日本経済新聞科学技術部、日経サイエンス編集部を経て、2011年より現職。
※ ※ 今回紹介した自然科学3賞については、日本科学未来館の「科学コミュニケーターブログ」でより詳しく解説しています。