<ノーベル賞>2015年も日本人受賞者は誕生するか? 日本科学未来館が予想
5日夕方から各賞発表スタート
今年もノーベル賞の季節がやってきた。10月5日の生理学・医学賞を皮切りに各賞が発表される。昨年は赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が物理学賞を受賞し、日本中が沸いた。自然科学系の3賞について、日本科学未来館の科学コミュニケーターが受賞者を予想している。今年も日本人受賞者は誕生するのか。 【写真】ノーベル賞とイグ・ノーベル賞を両方受賞した人っているの?
先進性があった「ノーベル賞」
ノーベル賞とは、スウェーデンの化学者で発明家でもあったアルフレッド・ノーベル(Alfred B. Nobel、1833~1896)が遺言によって創設した賞で、1901年に第1回の受賞者が選ばれている。ノーベルが開発したダイナマイトは、莫大な富をノーベルにもたらしたが、武器としても使われた。ノーベルは自分の財産で基金をつくり、「人類のためにもっとも貢献した人」に賞金として贈ることにした。自然科学系の3部門だけでなく、平和賞や文学賞があるのは、このためとされている。のちに経済学賞が加えられ、現在は6つの部門からなる。 多数の賞がある中で、ノーベル賞だけを注目することへの批判もある。しかし、100年以上も前の、まだ列強が植民地をめぐって争っていた時代に、国籍には一切関係なく受賞者を選ぶとした、この賞の先進性には敬意を払いたい。
日本科学未来館では、知名度も関心も高いノーベル賞が発表されるこの季節を、科学技術に親しんでもらうための好機ととらえて、いくつかの活動を行っている。その中心となるのが「受賞者の予想」だ。 発表の後に受賞者や研究テーマの解説もしているが、それだと、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞にそれぞれ1つずつしかない。ノーベル賞級の研究はたくさんあるのだから、「予想」という形でいくつか紹介してしまおうというのがこの活動の背景にある。
《ノーベル生理学・医学賞》=5日午後6時半~
■免疫制御分子の発見とがん治療への応用(ジェームズ・アリソン博士/本庶佑博士) 免疫反応を抑えている仕組みを分子レベルで解明。この研究は新しいがん治療薬へとつながった。 ■オートファジーの研究(大隅良典博士) 不要になったタンパク質などを分解して、素材をリサイクルできる状態にする細胞内の仕組みの解明。 ■ゲノム編集ツール「CRIPR/Cas9」の開発(ジェニファー・ダウドナ博士/エマニュエル・シャルパンティエ博士) 「CRIPR/Cas9」は、従来の遺伝子組み換え技術よりも効率よく確実に狙い通りに遺伝子を操作する技術。発表は3年前と新しいが、すぐに世界中に広まった。