高額インターンをめぐる企業と学生の思惑とは?
アベノミクスを背景に、企業の新卒学生に対する採用意欲が高まる中、学生が企業で実際に働く体験をする「インターンシップ」への注目が高まっている。優秀な学生の認知を得たい企業側と、就職活動を有利に進めたい学生側の、双方の思惑が一致しているためだ。中には、約1か月で40万円など高額報酬を支払う企業も出てきている。 「世界レベルのエンジニアと肩を並べて、自分の力を試してみよう!」 熱いメッセージを掲げるのは、リクルートホールディングス(東京都千代田区)。8~9月の6週間、米国・オースティンのネット企業に派遣するインターンシップの学生を6月に募集した。オースティンへの渡航費、現地での滞在費まで同社が負担するうえに、報酬として日当1.5万円、30日なら45万円を支払うというから、社会人でもうらやましくなる待遇だ。 また、LINE(東京都渋谷区)のインターンも注目を集める。同社サイトによると、8月4日~8月29日に実施するエンジニア向けのインターンは、報酬40万円。東京か福岡で実施され、交通費支給。希望者には宿泊費も出るという。このほか、外資系金融機関なども1~2か月の長期インターンを募集し、学生に報酬を支払っている。 ただ、取材に対し、リクルートホールディングスは「担当者が多忙で、取材にお答えできない」、LINEは「インターンに関して積極的な取材をお受けしていないのと、担当者のスケジュールが立て込んでおり、お受けできない状況です」と回答。両社とも、積極的な広報には及び腰のようだ。 インターンは表向き、経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」で、「採用選考活動と一切関係ない」とされる。とはいえ、インターンと就活は切っても切れない関係なのは周知の事実だ。就職情報サービスのマイナビ(東京都千代田区)は、2016年卒の学生向けの就活サイト「マイナビ2016」でインターンシップ募集を公開しているが、7月1日現在で約1500社が登録。昨年と比べ、30%も増加している。ただ、多くの企業のインターン受け入れは数日程度。もちろん、受け入れ人数には限度があるので、人気企業ほど念入りに選考を行って絞り込む。