高額インターンをめぐる企業と学生の思惑とは?
企業がインターンを受け入れるのは、やはり青田買いが目的なのか?マイナビ編集長の三上隆次さんは、「夏のインターンの実施から実際の採用選考まで、半年ほど期間が空く。なので、インターンからそのまま採用につなげていくのは難しい。が、外資系企業はインターンが採用の一環で、インターンの流れで内定を出す。しかし日本の大手は(経団連のルールがあるので)そういうことはできません」と説明する。 ただ、三上さんは「インターンを実施することで、学生に早い段階で就職先として認知してもらえ、採用のブランディングにつながる。実際、過去に実施した企業は、採用活動がうまくいっている」と指摘する。また、今の採用選考は4年生の4月から解禁されているが、来年からは「8月」に遅らせることが決まっており、各企業は少しでも早めに、今の3年生に知名度を高めておきたい狙いがあるという。こうした背景もあり、今年は実施する企業数が増えているだけでなく、受け入れ人数を増やしているところも目立つそうだ。 学生はどう思っているのか?2015年卒業で、すでに内定を得た慶応義塾大4年の女子学生は、2013年夏、9社でインターンを経験。意外なその狙いを明かした。「多くのインターンに行って就活でハクをつけたかった。その経歴が就活で有利になったのはすごく感じた。企業は、自分の会社で採用するか迷った時、他の会社に引っ張りだこの学生だと安心するみたい。『インターンに多数受け入れられたなら、優秀なんだろう』と思ってもらえる」と話す。 この女子学生のように、学生の多くが短期間のインターンを複数社で希望する。だが、高額報酬の出る長期インターンに行けば、他の企業のインターンを経験する機会は失われる。だから、「他のところへ行けない分、報酬をもらえないと割に合わない」というのが学生側の本音だという。 これまでの就職・採用活動では、短期間で多人数の選考を一気に行う結果、双方の理解が不十分のまま決まる「ミスマッチ」が指摘されてきた。インターンは、双方の理解を深められる良い機会には違いないが、参加する企業や学生が増えるほど、一定のルールづくりも必要になってくるかもしれない。 (文責・坂本宗之祐)