コンテンツ強化を図るソニーは、空間コンピューティング時代の“上流”を狙い撃つ
空間コンピューティングの“上流”を狙う
一連の発表から見えてくるのは、来る空間コンピューティングの時代に向けてソニーが“上流”を押さえにかかった、ということだろう。つまり、空間や物体、人物をスキャンしたりセンシングしたりするツールをクリエイターに提供することで空間コンテンツの制作を促し、それらを流通させるところまで一気通貫でとっていく戦略である。 空間コンピューティングの分野においては、アップルが2024年にApple Vision Proを発売して先行していた。しかし、コンテンツの取り込みに使うソフトウェアこそアップルが用意しているものの、制作となると既存のソリューションが中心となる。そこにソニーは、空間コンテンツの制作を容易にするハードウェアからソフトウェア、ソリューションまで提供してきたわけだ。 将来的にコンピューティングの形態は3D表現が中心のものへと進化し、人工知能(AI)やコンピュータービジョン、拡張現実(AR)などの技術を用いてデジタル体験と物理世界の体験がシームレスに統合されるようになる。こうした“未来”のコンテンツ体験における上流を押さえることで、ソニーは最終的にクリエイターによる空間コンテンツの制作に必要なハードウェアやソリューション、アプリ、そしてコンテンツの流通からコンテンツを楽しむデバイスやプラットフォームまでを網羅し、空間コンピューティング時代に欠かせない存在になっていくかもしれない。