【解説】“下請けへの支払い”減額 公取委がコストコに勧告 中小企業の賃上げは?
日テレNEWS NNN
日本でも展開するアメリカの大手会員制スーパー「コストコ」の日本法人が、下請け企業に支払う代金を不当に減らしていたとして、公正取引委員会が法律に基づき、再発防止の勧告を行いました。コストコがどのような禁止行為をしていたのか、また、公正取引委員会は何を問題視したのかを、経済部・企業取材担当キャップの渡邊翔さんが伝えます。
■支払い“減額”の構図 “常習的”だったた可能性も
藤井貴彦キャスター 「下請け企業に支払う代金を不当に減らしていたというのは、先日、日産自動車をめぐっても同じようなニュースをお伝えしたような気がしますが、今回はどのような形で減額が行われていたんでしょうか?」 渡邊翔 経済部・企業取材担当キャップ 「今回、勧告を受けたのはコストコの日本法人です。『減額』の構図というのは、コストコは、自社ブランドの商品のセールを行う際に、セールで値引きしていた分の金額を一方的に減らした額というのを下請け企業に支払っていたということになります。その期間は約2年間、総額は約3350万円にのぼります。ただ、公正取引委員会はかなり前から常習的に行われていた可能性もあるというふうにみています」 「さらにもう1つ、下請け企業から商品を受け取った際に品質検査をしていないにもかかわらず、『不備があった』ということで、あわせて約200万円分の商品を返品していたということです。これはいずれも下請法という法律で禁止された行為ということになります」
■下請け企業が賃上げできなくなった可能性も
藤井キャスター 「公正取引委員会は今回、どの点を特に問題視しているんでしょうか?」 渡邊キャップ 「今回のコストコの減額によって、下請け企業の賃上げができなくなっていた可能性があるというふうにみています。実はコストコのパートやフルタイムの求人の時給がかなり高いことが以前から話題になっていました。コストコのウェブサイトをみますと、パートタイムの時給は最低でも1500円あったということです」 藤井キャスター 「もちろん、仕事の内容にも時給というのは反映されてくると思いますけど、一般的にいうと少し高いような気がしますね」 渡邊キャップ 「ただ、その高い時給の元手が、もし今回のような形の不当に下請けいじめをすることによって捻出されていたとなれば、これはかなり悪質です。公取委が調査を行った下請け企業からは、『そもそもコストコとの取引価格が利益ギリギリなのに、さらに減額を要請されることには納得がいかない』という声が上がっています。ただ、それでもコストコとの取引金額が非常に大きいのでやらざるを得ない。その結果、利益がなくなってしまうというわけなんです」 藤井キャスター 「コストコ側は、どのような話をしているんでしょうか」 渡邊キャップ 「コストコは『勧告を真摯(しんし)に受け止めて業務の改善に努めてまいります』などとコメントしています」