スマホ時代、子どもに必要な情報モラルとは? LINEみらい財団が無償で行う「情報モラル教育」
目まぐるしい技術発展に伴い、「情報モラル教育」もアップデートを続ける
――現在の情報モラル教育において、感じている課題があれば教えてください。 西尾:私たちは教材を使った出前授業を行っていますが、より活動を広げようとしても、全国の学校数や児童生徒数を考えると正直限界があります。 ですから、教育委員会を主体とした「情報モラル教育」の教員研修に講師として参画し、学びの接点を広げていくという、草の根活動的な取り組みを積極的に実施しています。 毎日10分、15分といった短い間でも「情報モラル教育」の場が増えていくといいなと期待していますが、教員に時間がなさ過ぎるということも解決しなくてはいけない課題です。 塩田:文部科学省では「情報活用能力(※)の中に情報モラルが含まれますよ」という考えなんです。この情報活用能力についての認知が低く、まだまだ学校現場では認識している教員が少ないというのも課題です。 情報活用能力を子どもたちに育んでもらうことと、そのためにはスマホやネットを上手に使う力と、リスクに対応する力の両面が必要だということが、教員や保護者も含めて浸透していくといいなと思います。 ※必要に応じてコンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を得たり、情報を整理・比較したり、得られた情報を分かりやすく発信・伝達したり、必要に応じて保存・共有したりといったことができる力。参考:学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力の育成|文部科学省 ――今後、LINEみらい財団として将来的にどのようなことをしていきたいか、展望を教えてください。 西尾:近年では著しく技術発展が進んでおり、私たちの生活を取り巻く環境がすごいスピードで変わってきています。そのため、「情報モラル教育」も同じスピードでアップデートしていかなくてはいけません。時代の変化を見据えて、教材や財団の活動で民間としてバックアップできることは積極的に取り組んでいければと感じています。 塩田:やはり学校でも家庭でも一番の問題は、スマホやタブレットの長時間利用です。これは教育現場も悩まされています。 そもそもの問題に立ち返ると、その原因は「スマホ以外に夢中になれる余暇が少ないから」ということにあると思い、最近は余暇の研究に携わっています。 もしかしたら家庭の中でも「いつまでスマホ使ってるの?」といった声かけじゃなくて、「スマホ以外に楽しいことを一緒に探そうよ」という声掛けの方がいいんじゃないかなと最近考えています。 今後、余暇の楽しみ方についても、教材として加えていく予定です。大人も子どもも人生を楽しむために余暇をどのように使うかということを考えるきっかけになればと思います。仕事以外にどうやって人生を豊かにしていくかということについて、仕事に就く前から考えたほうががよいのかなと思っています。