まるで新幹線の車内、「あのアイス」も食べられます 本物運転台も、お宝だらけの鉄道カフェが京都に
京都市下京区の京都鉄道博物館の隣に元車掌の男性が鉄道愛あふれるカフェを開いた。本物の運転台や新幹線の座席など、約20年かけて収集した貴重な鉄道部品を並べた店は「動く・光る・鳴る」がコンセプト。鉄博にも引けをとらない、五感で楽しめる濃厚な空間になっている。 【店内写真】運転席の椅子ずらり、テーブルは「ラッシュ用ドア」 ■動く!光る!鳴る! 京都鉄道博物館の入り口から西に5分ほど歩くと、青色とクリーム色で塗り分けた国鉄電車「横須賀色」の外壁が目を引く店がある。見るからに“鉄分”の濃そうなこの店こそ、2024年7月にオープンした「鉄道カフェTA-TA(たあた)」だ。 店長の安済武尊さん(29)は東京都出身で、小学生の頃から鉄道部品の収集に熱中。学生時代にはバイト代をつぎ込み、関東の私鉄に就職後も給料の大半を費やして各地の即売会などで集めた部品は、自宅を埋め尽くすほどに。友人たちからも展示公開を勧められ、「自己満足でなく、誰かに喜んでもらえるなら」と、退職して自分の店を出すことを決意。神社仏閣が好きで年に数回訪れていたという京都で店を開いた。 ■1階は「駅」、本物運転台も 玄関をくぐると、目の前には電車の運転台があり、駅名標やホームの案内表示がつり下げられるなど、1階は駅をテーマにした空間になっている。運転台は国鉄455系の本物で、車両から取り外され、JR九州で訓練に用いられていたものだという。ボタンやレバーを操作すると実車同様の音が鳴り、運転士気分を味わうことができる。 阪急で使われていたレトロな「パタパタ式」発車案内板や、京阪電車の方向幕も動作可能。カウンターの上には寝台特急「北斗星」の食堂車で使われていたランプ、奥の壁には上越新幹線で活躍したE1系の車体外板があるなど、ここだけでも見どころ満載だ。 ■まるで新幹線の車内 2階に上がると、向かって右側には新幹線の座席が並ぶ。壁は秋田新幹線E6系の実物の内装パネルになっており、窓部分にモニターを設置して車窓映像を流している。座席にもたれ、店一番の人気メニューという「シンカンセンスゴクカタイアイス」を食べながら車窓を眺めると、本当に新幹線に乗っているかのような錯覚に陥った。 反対側のスペースには新幹線各形式の運転席の椅子が並び、京阪電車のドアがテーブルになっている。一番奥には京阪宇治駅でかつて使われていた信号や線路の制御盤が鎮座。壁面には運転席のメーターパネルやさまざまな車両のナンバープレートが並び、ちょっとした博物館状態だ。