まるで新幹線の車内、「あのアイス」も食べられます 本物運転台も、お宝だらけの鉄道カフェが京都に
3階には、壁面に0系新幹線の「団子鼻」が掲げられ、開業当初の座席も設置されている。お隣の鉄博では通常触れることができない貴重なものだが、ここでは自由に座ることが可能。安済さんは「年配のお客さまが『新婚旅行で座った椅子だ』と喜んでくれました」とほほ笑む。 そのほか同階には、東海道新幹線で現役のN700系の運転席や、上越新幹線の車内にアート作品を展示していた「現美新幹線」の座席などを設置。窓際に置かれた東武6050系の座席は座り心地の良さに定評があり、この席を目当てに訪れるファンもいるという。窓からは鉄博のほか、遠くには京都タワーまで一望できる。 ■窓からは「本家」の0系が 安済さんは「線路沿いの物件を探していたら、偶然ここが出てきた。実際に訪れてみると、窓から鉄博に展示されている0系が見えるほど近くて驚いた」と話す。昨年夏に移住して開店準備に取りかかり、内装工事では国鉄車両の運転席と同じ淡い緑色の壁面など、細部にこだわるために連日立ち会い、「現場監督」状態だったという。 店内には、安済さんの思い出の品も並ぶ。3階のショーケース内に置かれている車掌用のドアスイッチは、安済さんが小学生時代に東武鉄道の博物館で買ってもらった初めての鉄道部品で、「今に至る原点です」と大切に飾っている。 また、2階に並ぶナンバープレートのうち、EF81形機関車「137号機」は、学生時代に乗った寝台特急「あけぼの」をけん引していた車両だ。自身で撮影した在りし日の勇姿の写真とともに店内を彩っている。 こだわりの空間は鉄道ファンたちを驚かせている。SNSで見て初めて訪れたという大学院生村野太紀さん(22)=左京区=は「今は走っていない新幹線の座席など、珍しいものがたくさんあって来てよかった。ここでコーヒーが飲めるなんて、すてきです」と目を輝かせていた。 ■食堂車のカレーを再現 2024年12月からは食事メニューの提供を始めた。カレーライスは食堂車で提供されていた味の再現を目指し、当時の味を知る常連客に話を聞きながら試作を重ねたという。 安済さんは「鉄道ファン以外の人にもすごいと思ってもらえる場所にしたい。土日は一般の家族連れも多いが、『電車が好きになりそう』『また来ます』と言ってもらえるのが一番うれしい」と話している。 正午~午後8時。水、木曜休み。詳細はX(旧ツイッター)またはインスタグラム。