「ドリス」の“矛盾の心地よさ”、アジア女性に似合う「セシリー」、NCTジャニーでカオスの「アクネ」2024-25年秋冬パリコレ取材24時Vol.3
17:00「カサブランカ」
「カサブランカ(CASABLANCA)」の会場が11区のサーカス専用劇場「シルク・デヴィーユ(冬のサーカス)」と聞いて嫌な予感しかしないのはベテラン取材者のよくない点です。嫌な予感はショーの内容ではなく、前後の移動に関して。18世紀に建てられたこの円形劇場は入り口も建物内も通路が狭く、上階の奥に着席しようものなら出るのに時間がかかり、次のショーに間に合わないことがよくあるからです。ドラマチックな内装が魅力なので、シアトリカルな演出を好む注目デザイナーがこの会場を選ぶことが多く入場は押すな押すなの騒ぎになります。過去には「アレキサンダー マックイーン」や「アンダーカバー」でショーを満喫しつつ、会場移動の苦戦が体に染み付いています。
「カサブランカ(CASABLANCA)」はまさに、その上り調子で注目の、シアトリカルな演出が似合うブランドです。ショーを盛り上げたのは一糸乱れぬ手と頭の動きだけで踊るパフォーマンス集団。劇場の反対側に立つ指揮者の合図に合わせて完璧な動きを見せ、その間を抜けてモデルが登場してきます。古代ギリシャの都市における宗教的儀式が一つのインスピレーションとのことで、うん、これを見せるならこの劇場がピッタリね、と納得です。
ビョークの楽曲と同名の「ヴィーナス・アズ・ア・ボーイ」をテーマに、古代ギリシャのヴィーナスの最解釈に挑みました。カーヴィーなシルエットは得意とするところですが、今回はパンツスーツなどよりフォーマルなスタイルが印象的です。足元は「エンシェント・グリーク・サンダルズ(ANCIENT GREEK SANSALS)」とのコラボなどテーマに沿って抜かりなしです。
17:30「メリル ロッゲ」
通常ファッションショーはオンタイム(定刻)から30分は遅れてスタートするものなのですが、「メリル ロッゲ(MERYLL ROGGE)」のインビテーションには時間の横に「sharp(ぴったり)」の文字。公式のショー枠ではないので、次の「アクネ ストゥディオズ」に皆が遅れないようにやるのね!エラい!と思い、定刻に間に合うように到着しました。が、入り口の前には長蛇の列!17:30になっても、まだ入場さえ始まっていませんでした(泣)。「アクネ ストゥディオズ」の会場はかなり遠かったので、移動することに。パリコレの過密なスケジュールでは、こういうこともたまにあります。