核実験を強行 金正恩政権はどこへ向かおうとしているのか
北朝鮮の4度目の核実験をめぐり、国際社会は反発しています。米国はB52戦略爆撃機を韓国に派遣し、中国も強い不満を表明しました。なぜ北朝鮮は自称「水爆」実験を強行したのか。金正恩政権はどこへ向かおうとしているのか。デイリーNK東京支局長の高英起氏に寄稿してもらいました。 【写真】北朝鮮の核実験「水爆かどうか」より大事なことは
核実験はある意味「既定路線」
1月6日、北朝鮮は「水素爆弾の実験に成功した」と明らかにしました。過去3回の核実験とは違い、今回は米中に実験計画を伝えずに電撃的に行ったことから、国際社会も北朝鮮の真意を測りかねているようです。 北朝鮮の狙いについて論じる前にまず、確認しておかなければならないのは、今回の実験を通じてわかったのは、北朝鮮が今後も核開発を継続する意思を明確にしたことです。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第一書記は1日、今年の施政方針である「新年の辞」を発表しました。これを受けていくつかの日韓のメディアは、「金正恩氏は核について言及しなかった」「南北対話に意欲を見せた」としながら、あたかも、金正恩体制が核・ミサイルを軸とする強硬姿勢を打ち出さなかったというニュアンスで解説しました。 しかし、実際のところ、金正恩氏は「核爆弾を爆発させ、人工衛星を打ち上げたことより大きな威力で世界を震撼させ(後略)」と、核爆弾については言及しています。また、韓国政府に対しても「南朝鮮(※韓国)当局者は、外部勢力と結託して同族に反対する謀略騒動に固執しながら(後略)」と、お家芸のレトリックで非難しています。 北朝鮮は、昨年に3度の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験を行いました。うち2回は失敗したと見られていますが、実戦配備に向けて着々と準備をしています。地上から発射するミサイルと違い、SLBMは、発射する場所もタイミングも捕捉しづらいことから、米日韓にとって非常に厄介な軍事的脅威となり得るものです。 北朝鮮が、核放棄を宣言しない限り、タイミングやその時の政治的意図はともかく、核実験を行うのはある意味「既定路線」といえるのです。