大谷、メジャー行くなら二刀流封印? ── メジャーで二刀流が好まれない訳
A.J.・リードなど、高校のとき、通算で打率4割2分5厘、41本塁打、150打点をマーク。投手では26勝10敗、防御率1.88。260イニングを投げて、390三振を奪ったそうである。大学でも、投手としても打者としても甲乙つけがたい実績を残し、受賞に繋がった。 彼らが大谷のように二つを追い求めていたらどうなっていたか。興味は尽きないが、選手らが、「やりたい」と主張することもなければ、ファンらの間で、「やらせてみろ」という期待があったかと言えば、それも記憶にない。端から、その選択肢などなかったのではないか。 「チームが、リスクを犯すとは思えない」。ワシントンは繰り返した。「その選手の素質が、いずれも規格外であればあるほど、守ろうと考えるはずだ」 少し前のこと。日米野球に合わせて大谷を取材してみないかと、米テレビに持ちかけてみた。 ただ、ほとんど相手にされなかった。通用しないと思っている。 どちらかといえば保守的なメジャーリーグの世界では、なおさらそうだろう。そんな中で大谷がメジャーでも二刀流を目指すとなると、まずはスタート地点に立てるかどうか。そのためには入団交渉で二刀流挑戦が条件だと言えるほどの成績が求める。頭の固い彼らにさえ、「やらせてみたい」と思わせるほど圧倒的な日本での投打の実績が。 価値観を変えることは難しい。ただ、それを変えていくとしたら、誰かが前例にならなければならない。野茂英雄やイチローがそうであったように。今回は、それが大谷なのか。 日米野球で何が出来るかは、そのための一歩になるかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)