大谷、メジャー行くなら二刀流封印? ── メジャーで二刀流が好まれない訳
--では大谷がメジャーに挑戦するとする。その場合は? 「どちらのポテンシャルが高いか、それをまずチームが見極める。もちろん、本人の意向もあるだろうが」 --二刀流を許すことは・・・? 「ないだろうな。リスクが大きい」 ワシントンは、あくまでも個人の意見だと断ったが、おそらくそれはメジャー共通の考え方ではないか。指名打者があるア・リーグのあるスカウトに聞いても、「指名打者を使えば、それが可能かもしれない。ただ、シーズンは長い。1年もつかどうか」と話し、「長くプレイするという点で考えても、マイナス面の方が大きい」と否定的だった。 過去、アメリカにももちろん両方で通用しそうな選手はいた。 かつてマリナーズなどで活躍し、1993年には8月まで打率4割を打ち、テッド・ウィリアムス以来の4割打者誕生かと騒がれたジョン・オルルドなど、その代表例だろう。 大学1年のとき、彼は打率4割1分4厘、5本塁打、20打点をマーク。投手としては8勝2敗、防御率3.00だった。2年生のときには、打率4割6分4厘、23本塁打、81打点と成長し、投げては、15勝0敗、防御率2.49と無敗でシーズンを終えている。オルルドはしかし、ブルージェイズにドラフトに指名された後、投手を断念した。 ヤンキースなどでプレイしたデイブ・ウィンフィールドは、1973年のカレッジ・ワールドシリーズでは、投手としてMVPに輝いたほど。しかし、パドレスと契約後、彼はパワーを見込まれ、右翼手に転向すると、後に殿堂入りを果たすほどの選手に成長している。ちなみに彼は、大学を卒業するときに、MLB、NBA、ABA(ともにプロバスケット)、NFLの3種目からドラフトされるほどのマルチアスリートだった。 挙げた例が少々古いが、彼らのような選手が絶滅したわけではない。今も、アマチュアレベルでは二刀流は少なくなく、大学野球では、2010年からオルルドの功績を称え、毎年、もっとも優れた二刀流選手に、「ジョン・オルルド賞」が贈られるようになっている ただ、これまで5人の受賞者がいるものの、そのうちの2人が打者、3人が投手に専念し、やはり、二刀流は大学までだった。 ● ジョン・オルルド賞 受賞者 2010年 マイク・マギー(フロリダ州立大) マリナーズ1A所属 外野手 2011年 ダニー・ホルツェン(バージニア大) マリナーズ3A所属 投手 2012年 ブライアン・ジョンソン(フロリダ大) レッドソックス2A所属 投手 2013年 マルコ・ゴンザレス(ゴンザガ大) カージナルス所属 投手 2014年 A.J.・リード(ケンタッキー大) アストロズ 1A所属 一塁手/指名打者