若手教師が育つ学校「中堅教員」のふるまいが違う 「誰一人取り残さない」温かい学校をつくるには
2~3年目の若手さんへの寄り添い方
私が2~3年目の頃の話です。当時の私は、何か失敗するたびに落ち込んでばかりで自信がなく、決して優秀とはいえない若手でした。それなのに、なぜかそんな私にわざわざアドバイスを求めてくる先輩教員がいました。 実際に先輩の授業を見に行き、「どうしたらこの授業がもっとよくなるんだろう?」「自分だったらどうしたいかな?」などと考えているうちに、だんだんと自分なりの考えが明確になっていったように思います。 そして、「先輩の授業でやっていたあの活動、自分の授業でもやってみようかな」とか、「先輩の授業に比べて、自分の授業は子どもの発言が足りないな」とか、「この部分は自分のほうがうまくできているかもしれないな」などと新たな視点が生まれ、自分の授業を客観的に見直すことができるようになったのです。 今思えば、私にアドバイスを求めてきた先輩教員は、自信をなくしている私に気づいて、次の段階へと成長させるためにあえてそうしてくれていたのだと思います。若手育成のテクニックの一つとして相談してくれたのです。 私は「自分の授業ってつまらないな」「このままでいいのかな」と思えたときこそが、教員としての本当のスタートだと考えています。 授業改善に必要な最初のスキルは「子どもの反応を冷静に受け止める」ことです。授業のよし悪しは、いつも子どもが教えてくれます。子どもたちの目の輝きや発言から察することができるようになって初めて、次のステップに進めるのです。 一方、あまりにも若手さんが成長してくれなくて、現場が困り果てているケースもあるでしょう。もしかすると若手さんへの期待値が高すぎるのかもしれません。が、若手さんは大学を出てわずか2~3年しかたっていない新人です。ベテラン教員が思っているような器用さをもっている若手さんは多くありません。 ミドルさんとしては、「教わっていないことはできなくても仕方のないこと。勝手に期待するのが間違い」「むしろ、自分の説明や伝え方に何か問題がなかっただろうか」と謙虚に振り返る姿勢をもつことが大切です。できない原因を若手さんだけに求めるのではなく、寛容な気持ちをもって、お互い気持ちよく仕事をしていきたいものです。 「私たちの時代は」と言いたくなる気持ちをグッとこらえてください。若手さんがやってみたいと思えることにチャレンジできるようにするには、何よりも校務がスムーズに回っている必要があります。 ほんの一例ですが「若手さんがつまずきやすい職員室」の例を挙げてみます。 ・学年間や教員間に溝がある職員室 ・前任者からの引継ぎがない職員室 ・仕事について教えてくれる人がいない職員室 ・若手さんに仕事を任せる余裕がない職員室 やる気に満ちあふれた若手さんの足を引っ張らないようにするために、ミドルさんは、「教員同士の垣根をなくす」「若手に仕事を教える」「校務がうまく回るようにする」ということを意識しておきたいものです。