世界最大級のフィンテックイベントはなぜ盛り上がる? 国家を巻き込んだ「仕掛け」を解説
フィンテック関連表彰に見る「世界の潮流」
SFFに際し、MASとシンガポールフィンテック協会が主催するコンテストでは、「Global FinTech Hackcelerator(ハッカソンとアクセラレータを一緒にしたプログラム)」「FinTech Excellence Awards 2024(フィンテック領域での優れた実績を表彰)」について以下の各社が受賞した。
「フィンテックが国策」のシンガポール金融当局の巧みさ
2023年との比較でいうと特段新しいテーマはみられず、SFFもそろそろピークを越えたという印象を受けた参加者も多かったようだ。グローバル市場を意識し、年次イベントだけに依存しない動きとしてGFTNの設立が発表され、量子コンピュータをテーマに加えたということもあるが、10年目の節目となる来年の運営については、色々と見直される点が出てくることが予想される。 ステージ設定や展示についても2023年同様という印象であったが、参加者の交流を活性化させるために、事前登録によってマッチングを行うMeetupが今年初めて導入された。筆者も複数のミーティングを行ったが、多くの参加者の中から出会いの機会を作り出すということで、これまでにはなかった価値が感じられた。 政府主導で出展者を集めた2023年と比べ、この2024年のESG/グリーンファイナンス領域の展示はかなり減った印象で、同分野における採算確保が難しいことが伺われた。シンガポールの経済規模からするとサステナブル分野の市場もあまり拡大は期待しにくく、ASEAN各国においても、それぞれの姿勢が異なることから単純にシンガポールから周辺国に進出することも容易でないものと思われる。 とはいえ、シンガポール金融当局がフィンテックを国策として振興していこうとする演出の巧みさには毎年感心させられる。イベントに併せて多くのプロジェクトを推進し、金融機関やスタートアップを時に競わせ、時に連携することで着実に成果につなげている点は評価せざるを得ない。日本においても、この2024年から始まったJapan FinTech Weekを今後どのようにして国際的に認知度の高いイベントに育てていくかという点において、シンガポールの経験から学ぶ点は多い。
FINOLABは「Japan FinTech Week」内で、フィンテックスタートアップ向けにピッチコンテストFINOPITCHを開催予定(最終ピッチと審査2025年3月6日)で、参加スタートアップを募集しています(締切2025年1月5日)。 ご応募お待ちしております
執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠