世界最大級のフィンテックイベントはなぜ盛り上がる? 国家を巻き込んだ「仕掛け」を解説
チーフフィンテックオフィサー設立のGFTNとは?
開会の冒頭で発表されたのがGlobal Finance & Technology Network(GFTN)の設立であった。発表したのは、SFF開始の2016年から今春勇退するまでずっとMAS(Monetary Authority of Singapore)の長官の任にあったラヴィ・メノン(Ravi Menon)氏である。 同氏が会長に就任し、SFF成功の立役者と言われるMASの現職チーフフィンテックオフィサーであるサプネンディ・モハンティ(Sopnendu Mohanty)氏が2025年2月よりCEOのポジションにつくことが明らかにされた。 MASのSFF運営チームは2021年に独立してElevandiというイベント運営組織が設立されていたが、GFTNはこれを発展的に解消し、4つの戦略的ビジネスを展開することになる。 ・GFTNフォーラム:金融と技術に特化したグローバルな会議開催 ・GFTNアドバイザリー:イノベーション政策とエコシステムに関する実務者主導のアドバイザリーサービスと調査を提供するナレッジセンター ・GFTNプラットフォーム:特に中小企業向けのデジタルプラットフォームサービスプロバイダー ・GFTNキャピタル:持続的な成長と社会的なプラスの影響をもたらす可能性のある技術スタートアップ向けの投資ファンド 具体的なテーマとして、最も注目されているAIに加えて量子技術についてもとりあげていくことが表明された。その中で、量子コンピューターの実用化はまだ先と予想されるが、耐量子暗号の研究などを考えると、早い段階から取り組む必要がある点が説明された。 今回の発表により、これまでにSFFの運営によって蓄積してきたノウハウとネットワークを活用して、フィンテック領域におけるシンガポールの地位をより強固なものにするとともに、ビジネスとしてアドバイザリー、システムインフラ、投資といった活動を展開していくことを読み取ることができる。