2024年版「iMac」が“買い”と言える理由。サンボル4とかいろいろ
AppleはM4チップを搭載した24型オールインワンデスクトップ「iMac(24インチ, 2024)」を11月8日に発売した。本製品は基本的なデザインは踏襲。プロセッサを更新しつつ、インターフェイスはThunderbolt 4対応に変更。またWebカメラをデスクビューに対応した12MP(1,200万画素)センターフレームカメラにグレードアップし、オプションで強力に映り込みを低減するNano-textureディスプレイを選択可能となった。 【画像】今回借用したモデルにはNano-textureガラス版のディスプレイが搭載 今回Appleより実機を借用したので、スペック、外観、新要素、パフォーマンスなどについてレビューをお届けしよう。 ■ 4ポート版と2ポート版で構成が変化する 「iMac (24インチ, 2024)」はOSにmacOS Sequoia バ-ジョン15、プロセッサにM4チップを採用。メモリは16GB/24GB/32GBユニファイドメモリ(LPDDR5)、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB SSDを選択できる。 購入を検討する際の注意点は、今回のiMacにはThunderbolt 4(USB-C) 4ポート版と2ポート版の2種類が存在すること。 4ポート版には10コアCPU/10コアGPU、2ポート版には8コアCPU/8コアGPUのM4チップが搭載されており、4ポート版のみが32GBメモリ/2TBストレージの最大容量構成を選択可能となっている。 また、2ポート版は1000BASE-T対応有線LAN端子を備えた電源アダプタや、指紋認証一体型電源ボタン「Touch ID」を搭載したキーボードはオプションだ。さらにNano-textureディスプレイを選択できない。直販サイトからカスタマイズ購入する際には注意してほしい。 ・Thunderbolt 4 4ポート版 Apple M4(10コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×6]、10コアGPU、16コアNeural Engine、120GB/sのメモリ帯域幅) ・Thunderbolt 4 2ポート版 Apple M4(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、8コアGPU、16コアNeural Engine、120GB/sのメモリ帯域幅) それ以外のスペックは基本的には共通。ディスプレイは24型(4,480×2,520ドット)を搭載。ディスプレイ上部にはデスクビューに対応した12MP(1,200万画素)センターフレームカメラが内蔵。また6スピーカーシステム、3マイクアレイなどが装備されている。 Thunderbolt 4端子の数は異なるが、4ポート版、2ポート版ともにThunderbolt 4接続時最大40Gb/s、USB 4接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s、DisplayPort対応というスペックは同じ。 また左側面には3.5mmヘッドフォンジャックが配置されている。1000BASE-T対応有線LAN端子を備えた「143W電源アダプタ」は4ポート版では標準装備で、2ポート版ではオプション。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポートする。 本体サイズは461×547×147mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4ポート版が4.44kg、2ポート版が4.42kg。筐体カラーはブルー、パープル、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、シルバーの7色が用意されているのは従来モデルと同じだが、新たな色味に変更されている。そのほかの細かなスペックについては下記表を参照してほしい。 今回特筆すべきは価格の据え置き。メモリを2倍に増量しつつ、下記の通り標準構成モデルの価格は据え置きされている(M4/16GB/512GB構成のみ2,000円アップ)。新たに追加された標準構成最上位モデルもギリギリ30万円を切っている。 円安の行方が不透明な状況が続いているので、購入するなら価格改定などが実施される前に早めに決断したほうがよさそうだ。 ■ 24インチの大画面だからこそNano-textureガラスの長所が生きてくる 新iMac最大のトピックは、やはりNano-textureディスプレイを選択可能となったこと。Nano-textureガラスはその名の通り、表面にナノメートル級の微細なおうとつを施すことで、画質を落とすことなく、周囲の照明などの映り込みを強力に低減してくれる。 今回、ディスプレイ中央にシーリングライトが映り込む位置から眺めてみたが、まったくと言っていいほど映り込みは気にならなかった。24インチの大画面ではそれだけ照明などが映り込む可能性が高い。標準ガラスからNano-textureガラスへの変更にはプラス3万円が必要となるが、後付けできない装備なだけに、できればアップグレードしておきたいところだ。 使い勝手におけるもうひとつの大きな変更点は、キーボード、マウスの充電端子がLightningからUSB Type-Cになったこと。この変更を歓迎しない人はほとんどいないと思う。 ただ、相変わらずMagic Mouseは底面に充電端子があるので、チャージしながら使うことはできない。左右どちらかの側面に端子があってもいいと筆者は思ったりもするが、Appleとしては譲れないこだわりなのだろう。 個人的に最もうれしいのが、デスクビューに対応した12MPセンターフレームカメラが搭載されたこと。超広角レンズにより常に利用者を中心に収める「センターフレーム」機能も便利だが、デスクビュー機能で同時に手元の映像も撮影できるので、ビデオ通話、Web会議などでの表現の幅が広がる。 ただデスクビューでは比率が変わってしまうのが残念だ。今後、自然な映像に補正する機能が実装されることに期待したい。 ■ シングルコア性能を上げつつ、コア数を増やしてマルチコア性能を大きく向上 最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回借用している「iMac (24インチ, 2024)」は、10コアCPU、10コアGPUを搭載するM4チップ、24GBメモリ、1TBストレージという構成。 比較対象機種としては、8コアCPU、10コアGPU搭載のM3チップ、24GBメモリ、1TBストレージという構成の「iMac (24インチ, 2023) 」を使用した。 まずCPU性能については、M4版はM3版に対して、Cinebench 2024のマルチコアは138%相当、シングルコアは122%相当、Cinebench R23のマルチコアは130%相当、シングルコアは114%相当、Geekbench 5のマルチコアは121%相当、シングルコアは114%相当、Geekbench 6のマルチコアは125%、シングルコアは122%相当となった。 ベンチマークソフトによって多少のバラツキはあるものの、シングルコア性能を着実に向上させつつ、コア数を増やしたことでマルチコア性能を121~138%と大きく伸ばしていることが分かる。 グラフィックス性能については、M4版はM3版に対して、GFXBench Metalで最大108%相当、全項目の平均で106%相当となった。 ただし、Geekbench 5のCompute(Metal)は117%相当、Geekbench 6のCompute(Metal)は116%相当を記録している。どちらが実性能を示しているのかは現時点で確定することは難しいが、アプリ、ゲームによってバラツキが大きい可能性がある。 ストレージ速度については、Blackmagic Disk Speed Test、AmorphousDiskMark 4のどちらでもほぼ横並びの結果となった。 一方、メモリ速度については、メモリ帯域幅がM3の100GB/sに対して、M4は120GB/sと広くなっているため、AmorphousMemoryMark 3において最大で122%相当、平均で110%相当のスコアを記録している。システム全体のパフォーマンスに対して恩恵を受けられているはずだ。 最後に実際のアプリで高負荷処理の所要時間を計測してみたが、Lightroom Classicで82%相当、Premiere Proで79%相当、iMovieで72%相当のタイムで処理を終えた。各アプリの最適化などの影響もあるだろうが、ベンチマークプログラムだけでなく、実際のアプリでも着実にパフォーマンスが向上しているのは間違いない。 ■ 着実にスペックを向上しつつ価格据え置きの新iMac M4チップを搭載した「iMac (24インチ, 2024)」は処理性能の向上だけでなく、Thunderbolt 4への対応、デスクビューに対応した12MPセンターフレームカメラの搭載、映り込みを強力に低減するNano-textureディスプレイも選択可能になるなど、着実に進化している。筐体の形状は変わっていないが、色味を一新したニューカラーは、買い換えユーザーにも大きな訴求ポイントとなっていることだろう。 最小メモリ容量を16GBに引き上げるなど、着実にスペックを向上しつつ価格を据え置いた新iMacの値頃感は高い。オールインワンデスクトップの購入を検討しているのであれば、有力な候補に加えるべき1台と言えるだろう。
PC Watch,ジャイアン鈴木