〈クリスマス百条委員会〉「私のところに告発が来たらクシャっとしとったのに」号泣辞職した元副知事が“覚醒”して声荒らげる独演会、斎藤知事は再度パワハラ認めず
兵庫県の斎藤元彦知事やその側近がパワハラや公金不正支出などの疑惑を指摘された問題で、斎藤知事と片山安孝元副知事が12月25日、県議会調査特別委員会(百条委)で証人尋問を受けた。11月の出直し知事選で斎藤氏が再選されてからは初めての尋問で、二人とも強気の答弁に出る中、内部告発の“処理”をめぐる考えも浮かび上がった。 【画像】7月の会見では涙を流し辞職した片山副知事
当時「知事を支えられなかった」と号泣会見した副知事は…
今年3月に明らかになった一連の疑惑で百条委は2月議会に報告書を提出したい意向だが、実現できるかは不透明だ。問題は1年越しで続くことになる。 3月12日、当時の西播磨県民局長・Aさん(60)がメディアや県議らに告発文書を送った。これに気づいた斎藤氏は片山氏らに告発者探しを指示。片山氏はAさんを3月25日に尋問し、自分が文書を作ったと認めさせたうえ、Aさんの県公用パソコンを押収。2日後の3月27日、斎藤氏は記者会見で、文書は「嘘八百」でAさんは「公務員失格」だと断罪した。 「県には公益通報窓口がありますが、ここに持ち込んでも意味はないと考えたAさんは外部に告発しました。しかし嘘八百扱いされたので改めて県の窓口に4月に通報手続きを取りました。 Aさんは3月の文書では7つの疑惑を挙げましたが、4月の通報ではうち一つを外しただけで、ほぼ同じ内容だとメディアに説明しています。しかし窓口通報を受けた調査が終わっていないのに、県は5月、文書は他人を誹謗中傷したとし、Aさんのパソコンの中から見つけたデータで分かったとするほか3つの問題行為を合わせ、Aさんに懲戒処分を出したんです」(地元記者) だが告発には信ぴょう性があるとの見方が強まり、県議会に百条委が設置される。設置をやめてくれと県議会に働きかけた片山氏は7月、阻止に失敗すると会見を開いて、「知事を支えられなかった」と言って泣き、辞職した。 この直前には、百条委での証言を前にAさんが自死した。片山氏が押収したパソコンにあった私的な文書を片山氏の部下が関係者に見せて回り、Aさんはこれに苦しんでいたという。 百条委の調査などを基に疑惑が連日報じられていた9月、告発に不適切に対処し県政を混乱させたとの理由で斎藤氏の不信任決議案が県議会で可決される。 失職を選んだ斎藤氏はSNSの応援も力にし、出直し知事選で返り咲いた。しかし疑惑には決着がついておらず百条委は斎藤氏と片山氏に、それぞれ3回目となる尋問をクリスマスに行なった。