富士山マイカー規制、バスやタクシーの追加検討へ 訪日客増で山梨側
富士山のふもとと5合目をつなぐ有料道路「富士スバルライン」(山梨県)の開山期間中のマイカー規制について、いまは規制対象外の大型観光バスやタクシーを加えることが検討されることになった。地元市町村などでつくる検討委員会で25日、2026年度の実施を目指す方向性が示された。 【写真】研究会設置を決めた検討委員会の会合。右端はあいさつする会長の堀内茂・富士吉田市長=2024年12月25日、同市、豊平森撮影 マイカー規制は富士山の自然保護や渋滞解消のため、1994年度から夏の5合目以上の開山期間中に実施されている。規制期間は徐々に延ばされ、今夏は開山72日中68日で実施された。 山梨県富士吉田市でこの日開かれた地元の市町村や観光団体、国の機関などでつくる「富士スバルラインの適正利用と北麓(ほくろく)観光振興検討委員会」(会長=堀内茂・富士吉田市長)で委員らから、インバウンド(訪日外国人客)の増加に伴って県外ナンバーのタクシーや黒煙を出して走る大型観光バスが目立つようになったとして、富士山の自然への悪影響などを懸念する声が相次いだ。 検討委に示された資料などによると、マイカー規制期間中に通行した路線バス以外の中型・大型・特大車は、昨年(59日)の約7400台から今年は約1万900台に5割近く増加。タクシーも約2500台から約4100台に6割増えた。 委員らの発言を受け、会長の堀内市長は今後も大幅増の懸念があると指摘。自然保護や二酸化炭素の排出減の観点から、大型観光バスやタクシーの通行規制を目指す研究会の設置を検討委に提案し賛同を得た。 堀内市長は取材に「規制を考えなければならない段階」と強調。来年度中に課題を洗い出し、26年度には可能な範囲で実施につなげたい意向を示した。 研究会の枠組みや進め方は今後、事務局の県を中心に詰めていく。(豊平森) ■開山期間は7月1日~9月10日 富士山を山梨県側から登る吉田ルートの5合目から山頂までの来夏の開山期間は、今夏と同じ7月1日~9月10日の72日間となった。地元自治体などでつくる「富士スバルラインの適正利用と北麓観光振興検討委員会」が25日に決めた。 また、ふもとと5合目をつなぐ有料道路「富士スバルライン」のマイカー規制について、7月4日午後6時~9月10日午後6時の69日間とする地元案もまとめた。今夏より1日長く、過去最長となる。電気自動車や燃料電池車などは規制の対象にならない。 今後、県公安委員会が地元案をもとに検討して、正式に決める。 県は来夏から、5合目以上の登山規制について、通行料を4千円に引き上げ、ゲート閉鎖時間を午後2時から翌午前3時に拡大して、静岡県と足並みをそろえる方針を表明している。(豊平森)
朝日新聞社