ラグビー 稲垣啓太、プロ初の長期離脱、代表不参加の期間を振り返る「全然、時間が足りなかった」
ラグビー・リーグワン1部で昨季準優勝の埼玉(旧パナソニック)は5日、熊谷市内のグラウンドで練習を行った。昨季のシーズン中にコンディション不良で欠場が続いていたプロップ稲垣啓太が、11月30日の相模原との強化試合で戦線復帰。この日取材に応じ「ケガをする前とマインドは全く変わっていないし、動き、感触も変わっていなかった。戻ってないのはゲーム勘かなと思っていたけど、そこも必要なかったみたい」と順調な調整にうなずいた。 昨季はレギュラーシーズン5試合、2月のクロスボーダーマッチ・チーフス戦に出場し離脱。負傷の詳細は控えつつ「手術をしたのは2月末。走り始めたのは、8~9月。半年くらい、それくらい時間を要する怪我だった」と明かした。2013年に当時のパナソニックに入団後「12年目で、初めてですかね」という長期の自分と向き合う時間。稲垣は「怪我をして『うわ、やっちゃった』というのもなかった。準備、リカバリー、治療、アップ、オフの期間も全部を費やして『これ以上できません』という状態で入っているので。それで怪我をしたのであれば、仕方ないと。チームには迷惑をかけたけど、休ませてもらった」と語った。 15年から3大会連続でW杯に出場した稲垣にとって、シーズン後代表活動から離れた時間も初めてという。「すごい時間が取れた、と思ったけど全然時間が足りないなという感覚が強い」と意外な胸中。「『こんなに長い休みをもらったのは初めてだ』『もっと体作りとかケアに時間が割ける』と思ったけど、時間が足りない。ラグビー面で、もっとやりたいことなんてたくさんある。体をこうしたい、もっとこういう体の使い方をしたい、ここを強化したいとか。全然、10か月程度では足りなかった」と振り返った。 負の言葉は一切出ずに「怪我した時間は、よかったかなと。いい時間を作れたかなと思える時点で、僕は前に進めているんじゃないかなと思う」と稲垣。チームは昨季、堀江翔太氏や内田啓介氏ら軸となる選手が引退したが、自身の立ち位置については「変えようとは思わない。自分ではなくて、しゃべるべき人間がいる。それは試合をコントロールする、いわゆる10番とか9番、15番とか。自分は何かない限り、しゃべらない」と冷静に語る。 リーグワン初代王者の埼玉は、2季連続でプレーオフの決勝で敗れ、準優勝。王座奪還へ向けた新シーズンは、21日の東京SG戦(味スタ)から幕を開ける。背中でチームを引っ張る34歳は「まずはしっかり、結果を出す。王座奪還と言うが、先は長い。まず一つ一つ、一試合一試合全力で勝利を取りに行く。取るためには、できるだけの準備をしていく」と、淡々と開幕節を見据えた。
報知新聞社