花巻東に眠る“大谷翔平超え”の1年生 体重94キロ…左投げ右打ちの異色の二刀流
花巻東の1年・赤間史弥は左投右打の二刀流…秋季東北大会4強進出に貢献
全国的には無名だが、秘めたポテンシャルには驚かされる。来春に行われる選抜大会出場の可能性がある花巻東(岩手)で、左投げ右打ちの“特異な二刀流”として注目されるのが赤間史弥投手兼外野手(1年)だ。 【動画】衝撃の156キロ! 15歳のスーパー中学生が剛球を投じる実際の映像 メジャーで活躍する菊池雄星、大谷翔平両投手を輩出した強豪・花巻東に入学して間もなく、赤間は春季岩手大会で背番号19をつけてベンチ入り。水沢商との準決勝では、公式戦初本塁打をバックスクリーンへ叩き込んた。5月に行われた宮崎県での招待試合では、逆方向の右翼席へ放り込んだ。 入学当初の体重は98キロ。スケールの大きさは際立っていた。夏は「変化球への対応」に苦しみ、甲子園で躍動するチームメートをスタンドから応援したが、秋は5番を担って東北大会4強に貢献した。 高校では夏まで野手に専念して、秋から満を持して“投手・赤間”の一面も披露し始めた。身長180センチ、現体重は94キロ。ほんの少しだけシャープになった体を駆使して、時には140キロに迫るストレートを投げ込む左腕へと変身する。 盛岡市立黒石野中時代は盛岡北リトルシニアに所属し、現在もチームメートで同じ左腕の萬谷堅心と2枚看板を形成する。出力の高いストレートに加え、カーブ、スライダー、フォークボールといった変化球の質もいい。「今は三振を取る時の変化球の精度を磨いています」と語る。
佐々木洋監督が高評価「来年の夏にエースになる可能性もある」
打って投げての二刀流。ただ、大谷のように右投左打の選手は多いが、左投右打はなかなか珍しい。「野球を始めた頃から自然と左投げ。なぜかは自分でもわからないんです(笑)。投げる以外は、すべて右です」。 同じタイプは「葛西(陸)さんしか知りません」。今夏の甲子園で活躍した同校の3年生左腕の名を口にするのだが、赤間も自身の左投右打は「珍しいと思う」と語る。「ただ、高校野球でもそうですが、左バッターが増えているので左投手の価値は、より高まっていると思う」。投手としての顔を失うことなく、「いずれは背番号1をつけたい」とも言う。 赤間に秘められた才能を、花巻東の佐々木洋監督はこう話す。「打者としては、同じ1年生で打撃のいい古城(大翔)よりも、飛距離だけなら上だと思います。歴代のスラッガーと比較してもそうですね。1年生時点という視点で言えば、大谷翔平選手よりもはるかに打球を飛ばしていると思います。入学当初は粗さもあった打撃ですが、今はチームで一番、状態がいい」。 投手としても期待する。「来年の夏にエースになる可能性もある。それだけ、ボールが力強くて変化球の精度もいい」。 右打席で、チームナンバーワンである137キロのスイングスピードを誇る。左腕から繰り出される剛球も、さらに磨きをかけていく特異な二刀流。「全国レベルを肌で感じながら、成長していきたい」と言う赤間は、自身は未経験の甲子園に思いを馳せながら、投打での活躍を誓う。
佐々木亨 / Toru Sasaki