梅垣義明 「美輪明宏さんみたいなすごい方は出てこない」
女装してシャンソンを歌いながら、鼻から豆を飛ばすオリジナリティーあふれる芸で知られる梅垣義明さん(58)。久本雅美さん、柴田理恵さんらが所属する「WAHAHA本舗」をホームグラウンドにしつつ多方面で活動し「松竹新喜劇錦秋公演」(24日まで、大阪・松竹座)にも出演しています。オンリーワンの立ち位置を確立した梅垣さんですが、その礎を築いた恩人への思いを語りました。 久本雅美 恩人の演出家とラブコールもらった芸人への気持ちは?
大学を辞めて、芝居をやるために関西から東京に行ったんです。そして、オーディションを経てWAHAHA本舗に入りました。 僕が女装してシャンソンを歌うきっかけを作ってくれたのは劇団主宰の喰始(たべ・はじめ)です。役者は集まって芝居をやる場があるから存在しているだけであって、じゃ、自分一人になったら何ができるのか。それを考えろと。 その中で、僕がカラオケに行った時に、お前は歌がうまいなと。そこで「お前みたいな顔の人間が女装してシャンソンを歌ったら面白いのでは」と言ってくれた。そこがスタートなんです。だから、そこが絶対的にスタートになりますし、全ての源になります。 もう一人、こちらは僕が勝手に恩人と思っているんですが、美輪明宏さんです。もともと高校生の時から美輪さんのステージを観に行ったりもしていて、すごい人だなと。 1993年2月、チケット1万円のライブというのをやったんです。「渋谷エピキュラス」という場所で。当時、オレらのレベルでは、普通、チケットは2000円か3000円。その中で1万円というのは相当攻めたライブだったんです。 そして、その初日。緊張感マンマンで舞台にのぞみ、考えられないくらいの大失敗に終わりました。もう誰にも会いたくない。もう消えてしまいたい。今でも思い出したらゾッとするくらいひどいステージになった。自信を持って、最低と言えます。死にたいとも思った。いかに悪い出来だったか、自分が一番よく分かってますから。