欧州サッカー開幕で識者が選んだ「今季、最もブレイクが期待できる」日本人選手4人
今週末にプレミアリーグ(イングランド)、セリエA(イタリア)、ラ・リーガ(スペイン)、リーグアン(フランス)など、多くの国でリーグ戦が開幕する欧州サッカー。今季も多くの日本人がプレーするが、なかでも注目の選手は? ジャーナリスト4人が推すのは――。 【画像】サッカー日本代表 2026年のメンバーはこうなる! 識者が予想 ケガから復帰したファンタジスタ的ウインガー坂元達裕(コベントリー・シティ) 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki ウイングは日本で最も競争の激しい、人材の宝庫と化しているポジションである。それを承知の上であえて、推したくなるのが坂元達裕だ。森保ジャパンのもとで2度の日本代表キャップがあるが、2022年1月に欧州組となってからは招集歴がない。 ベルギーのオーステンデから昨季チャンピオンシップ(イングランド2部)のコベントリー・シティへ移籍。開幕直後こそベンチスタートだったが、シーズンの進行とともに出場機会を増やし、秋口には不動のスタメンとして欠かせぬ選手となっていた。 日本代表に選出されても不思議ではないほど、現地で高評価を博している。コベントリーの成績もそれとともに急上昇。プレーオフどころか、プレミアリーグ昇格圏をうかがう勢いにあった。ところが今年の2月末、坂元は空中戦で背中を強打。ケガによりその後のシーズンを棒に振る。それと呼応するようにコベントリーの成績も急降下。坂元の重要性を証明する結果になった。 左利きの右ウイング。セレッソ大阪時代から、伝家の宝刀と呼ぶに相応しい、わかっていても引っかかる深々とした切り返しには定評があった。チャンピオンシップでもそれは十分すぎるほど通用している。縦もあれば、内もある。広角なウイングプレーに磨きがかかり、課題とされた得点力も改善された。昨季は出場20試合でチーム3番目に当たる7ゴールをマーク。プレーの幅、選手としてのスケール感が増している印象だ。 さらに加えれば、視野の広さになる。立体的な思考回路を備えているような頭脳的なプレーが光るのだ。坂元にボールが渡ると、ゴールまでのパスルートが見えてくるから不思議である。別名、"大外で構えるゲームメーカー"。背番号は7だが10番的な魅力を備えている。中の選手を操るウインガー。使われる選手というより使う選手だ。 ウインガーはよく韋駄天と言われるが、ヘンな荒々しさはない。あえて言うなら三笘薫的だ。ウインガーの概念を覆すファンタジスタ的なウインガー。褒めすぎを承知で言えばそうなる。 ケガは癒えたようである。早くも開幕したチャンピオンシップでは、初戦のストーク・シティ戦でスタメン出場を果たしている。いわゆる2部リーグの域を超えたチャンピオンシップにおいて今季もプレミア昇格をうかがうチームで、不可欠なプレーを見せることができるか。目を凝らしたい。