欧州サッカー開幕で識者が選んだ「今季、最もブレイクが期待できる」日本人選手4人
ゴール、アシストという結果を残しやすい状況に中村敬斗(スタッド・ランス) 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi オーストリアのLASKリンツからフランスのスタッド・ランスに移籍した昨シーズンは、リーグ戦25試合に出場(うちスタメン17試合、出場時間計1390分)し、4ゴール1アシストをマーク。リーグアン初年度という点で言えば、中村敬斗が残した結果は及第点だったと言っていい。 ただし、申し分のない内容だったかと言えば、そうでもなかったというのが実情か。 まず、それほど選手層の厚くないチームにおいて、完全にレギュラーの座を確保できなかった。左ウイングでポジション争いを繰り広げたライバルのモハメド・ダラミーも昨シーズンの新加入選手だったが、25試合に出場(うちスタメン19試合、出場時間計1657分)して4ゴール5アシストを記録している。初年度から大活躍した伊東純也と比較するのは酷な話ではあるが、出場時間が昨シーズンの伊東の約半分で、アジアカップの不在があったにせよ、ダラミーよりも下回ってしまったことは、本人も満足できない部分ではないだろうか。 そういう意味で、今シーズンは中村にとって勝負の年。ここで飛躍できるのか、それとも沈んでしまうのかは、中村の今後のキャリアを大きく左右することになる。 もっとも、今シーズンを展望すると、中村にはポジティブな要素は多い。とりわけプレー面で言えば、昨シーズンは持ち味のシュートのうまさを随所に見せて、ボールタッチが少ない試合でも一発で仕留める才能が光っていたが、アジアカップ後に出場機会が減ったなか、シーズン終盤戦は、カットインプレー以外に、縦突破からの左足でのクロス供給というプレーバリエーションを増やしたことが挙げられる。これにより、相手に捕まえられる局面が激減。要は、対峙する相手を迷わせることが、少しずつできるようになってきたことは意外と大きい。 縦突破の精度がもっと上がってくれば、今シーズンは周りとの絡み方にも変化が起きるだろうし、よりカットインしやすい状況が生まれるはず。それは、ゴールやアシストといった目に見える結果を残しやすい状況が生まれることを意味する。 「昨シーズンはフランスに慣れるための1年。今年は結果の部分にこだわっていきたい」 プレシーズンマッチで来日した中村はそう話していたが、果たして、今シーズンはどれだけ数字を残すことができるのか。 中村の成長は今後の日本代表に大きく影響することを考えても、今シーズンのスタッド・ランスにおける彼のプレーぶりは、注目に値する。