選手生命の危機から復帰 全国高校バスケに出場する正智深谷のグビノグン 昨年メディカル検査で異常…医師からは「この先競技は続けられないかもしれない」 その後、症状改善し復帰 大舞台へ意気込み
23日に開幕するバスケットボールの全国高校選手権(ウインターカップ)。14度目の出場で初の表彰台を目指す男子の埼玉代表・正智深谷に頼れるゲーム主将・グビノグンオサゼデロックが戻ってきた。選手生命を絶たれる可能性もあった大黒柱は「チームが勝ち進むのに自分の活躍は不可欠。点を取りまくって思い切り暴れたい」と年末の大舞台に向けて意気込んだ。 2年前の埼玉県予選でシュートを決めるグビノグン【写真2枚】 さいたま市出身。ナイジェリア人の両親を持ち、小学3年で競技を始めた。「全国大会での活躍を夢見た。トップを目指したい」と同校の門をたたいた。身長187センチの長身を生かした力強いプレーや高いバスケットIQで1年から全国選手権に出場。2年になると主力に成長した。 全国選手権を目前に控えた昨年12月、メディカル検査で心電図に異常が認められ、心肥大などの疑いが浮上した。医師からは「この先競技は続けられないかもしれない」と告げられ、メンバーから外れた。「なんで自分なんだろうと悔しさや悲しさなど、いろいろな感情が湧き上がった」と一時は競技からも気持ちが離れそうになった。 経過観察中は一切の激しい運動が禁じられた。トレーニングもできず、部活には月に2度顔を出すだけとなった。「学業などやれることを精いっぱいやった。チームの結果は常に気にしていた」。練習では関東や全国で戦う仲間を、球出しや声かけでサポートした。 月に1度の定期健診で症状の改善が見られると、8月に8カ月ぶりに競技を再開した。「どん底を味わった分、気負い過ぎずに気楽にスタートした」。10月の県予選決勝に照準を合わせ、9月から実戦復帰。県予選決勝では14得点を挙げるなど、存在感を示して全国への切符をつかんだ。 長期のブランクを感じさせないのは努力のたまもの。練習は誰よりも一生懸命に取り組み、仲間からの信頼は厚い。コート内では積極的に声を出し、プレー内外で仲間を鼓舞する。「昨年チームに迷惑をかけた分、今度はチームを助ける活躍で鬱憤(うっぷん)を晴らしたい」と2年超しの夢舞台へ挑戦する。