「結婚後もバレないよう浮気をしたい」と迫ってくる元カレ…婚約者にバラしてもいいですか?
●「浮気」を勝手にバラしたらさらに問題
――もしも、婚約者の連絡先がわかった場合、相談者は元カレの言動を、相談者と元カレが一緒に旅行していた時の写真などとともにバラしたいと考えているようですが、法的な問題はありますか。 住所などを調べること以上に問題があると考えられます。 相談者の方は、元カレの婚約者に良かれと思ってやっておられるかもしれません。しかし、婚約者は、相手男性(相談者の元カレ)が過去に誰と交際していたのか、自分と一緒にいないときに何をしているかについて、どんなことでも知りたいと思っているとは限りません。 むしろ、「知りたくなかった」「知ってしまうとしても、当の本人(元彼女)から知らされるなんて辛すぎる」と考えるかもしれません。その場合、婚約者から相談者の方について慰謝料請求がなされるリスクがありますし、法的な請求までいかずとも、トラブルになる可能性は十分あります。
●逆に元カレの婚約者から慰謝料請求される?
――相談者が元カレに婚約者がいるとは知らずに旅行に行ったことは、不貞行為にあたりますか。また、相談者が婚約者から慰謝料を請求される可能性はありますか。 相談者の方が、元カレに婚約者がいることを本当に知らなかったのであれば不貞行為にはあたりません。婚約者から慰謝料を請求されても支払う必要はありません。 もっとも、婚約者から慰謝料を絶対に請求されないか、ということとはまた別の話です。もし、相談者の方が、自分から元カレの言動を婚約者に「バラし」、そのせいで、逆に、相談者の方が元カレと旅行に行ったことやキスしたことまで発覚した場合、トラブルになるのは目に見えています。婚約者がいると知らなかったことを証明するのも難しいです(「ない」ことの証明が一番困難です)。 婚約者は、旅行もキスも許せなくて、不貞行為に当たらないとしても、慰謝料の支払いを求めてくるかもしれません。 ――相談者はどうするのがベストでしょうか。 これまで述べた通り、相談者の方が、婚約者と連絡を取るのは、元カレと婚約者とで解決すべき問題にわざわざ首を突っ込むようなものです。 相談者の方にとって利するところはほぼありません。元カレの態度に腹は立つと思いますが、もうかかわらないようにするのが良いでしょう。 【取材協力弁護士】 光安 理絵(みつやす りえ)弁護士 大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、東京地方検察庁、横浜地方検察庁を経て仙台弁護士会に弁護士登録。2021年度仙台弁護士会副会長。現在、ソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。 事務所名 : ソレイユ総合法律事務所 事務所URL:https://www.sendai-soleil.net/