「Aさんの意見は?」「いやー……」 上司の“自己満ファシリテーション”3つの特徴はこれだ
なぜ、会議でメンバーは「その気」にならないのか
会議室で社員10人が集まっている。上司は熱心に議論を持ち掛けているが、メンバーの表情は冴えない。意見を求められても「はい」「いや、特に」と答えるだけ。 【画像】ファシリテーションには「発散」と「収束」が必要だ 会議が進まない。時間だけが過ぎていく。この状況を見かねて、私はその上司に質問をした。 「もう少し質問のやり方を変えたほうがよくないですか――」 「部外者は黙っていてもらえませんか」 私の質問が終わる前から、その上司は被せてくる。部下たちの表情からは、「早く終わってほしい」「時間がもったいない」と言いたげな印象を受けるのに、上司は気付いていないようだった。 せっかくメンバーが集まって議論する場なのに、この上司はファシリテーションスキルを軽視しているのだろうか。 今回は効果的なファシリテーションができない上司の特徴について、20年以上現場でコンサルティングしてきた経験から解説する。組織のリーダーはもちろん、これから管理職を目指す人にもぜひ最後まで読んでもらいたい。
致命的ファシリテーション、3つの特徴
「致命的ファシリテーション」における、3つの特徴は次の通りだ。 1. 自分の意見を押し付ける 2. 発言者を限定させる 3. 結論ありきの進行をする まず第1は「自分の意見を押し付ける」である。 会議の場で、上司が自分の考えを一方的に話し続ける光景をよく目にする。これは最も致命的な欠点だ。理由は「他者視点」がなさすぎるからだ。 ファシリテーターの役割は、メンバーの意見を引き出し、議論を活性化させることだ。自分の意見を押し付けるのは本末転倒である。 どうしてもやりたいのならスマホで動画を撮影し、全員にメールで送信すればいい。わざわざ会議室に集めて演説するなんてタイパが悪すぎる。これでは単なる「独演会」である。 上司が長々と話し続ければ、もちろん部下は黙って聞くしかない。10分も20分も演説されて、「何か意見はないか?」「Aさんはどう思う?」と質問されても、どの部分の何について意見を出せばいいか分からないだろう。