「Aさんの意見は?」「いやー……」 上司の“自己満ファシリテーション”3つの特徴はこれだ
独りよがりのファシリテーターには誰も心は開かない
致命的なファシリテーションの特徴について、第2は「発言者を限定させる」だ。 会議で発言するのが、いつも同じメンバーという状況はないだろうか。これもよくある問題だ。 「Aさんはどう思う?」「Bさんの意見を聞かせて」と指名する上司。しかし、いつも意見を聞くのは同じ相手で、CさんやDさんは、ほとんど当てられない。 「発言したいのなら、自分から手を挙げればいい」と上司は言うが、これでは健全な議論にならない。 全員が参加する会議なのだから、全員が意見を発言できる環境を作るべきだ。そのためには、発言しやすい雰囲気作りが重要である。 そして致命的なファシリテーションの特徴、第3は「結論ありきの進行」だ。 上司の頭の中ですでに結論が決まっているケースも多い。形だけ会議を開いて、メンバーの承認を得ようとするのだ。 このような会議では、メンバーは「どうせ決まっている」「発言するだけムダ」と諦めの気持ちを抱く。議論する意欲も失せてしまう。だから発言もしない。 本来の会議とは、メンバーの知恵を結集させ、より良い結論を導き出す場である。後述するが、「発散と収束」が基本中のキホンである。結論ありきの進行では、その機会を失ってしまう。
「発散と収束」を意識せよ
ファシリテーションとは、メンバーの意見を引き出し、議論を活性化させ、より良い結論を導き出すスキルである。メンバーが活発に意見を出せない原因は、上司のファシリテーション力の不足にある。 では、どうすれば活発な議論ができる会議が実現するのか。効果的なファシリテーションには、「発散」と「収束」の2つのスキルが重要だ。 ファシリテーターは、まずメンバーのアイデアを思い切り発散させる必要がある。そのためには、メンバー構成にも気を配らなければならない。 同質の人ばかりを集めると、似たようなアイデアしか出てこない。これでは本当の発散にはならない。例えば課長ばかりを集めたり、同じ部署の人ばかりを呼んで議論しても、同じような意見ばかりが出るだけ。経営陣や、現場の第一線で働く人も呼ぼう。性別や雇用形態も違う人がいたほうが、多様な視点からアイデアが生まれやすい。 ただし、テーマに関してあまりにも無知な人がいると、不毛なアイデアが出てしまうので注意が必要だ。例えばSNSマーケティングがテーマなのに、そのことについて全く知識も経験もないメンバーがいると、単なる憶測(おくそく)や、印象論的な意見ばかりが出てしまい、収拾がつかなくなってしまうこともある。